第七章 朱雀召喚の時

「おっはよー!!」

儀式の朝。神妙な面持ちで食堂に集まっていた仲間に、雪は「やあやあ皆さんお揃いで!」なんておどけながら、満面の笑みを向けた。

それからは普段と何一つ変わらぬ様子で定位置へつく。張宿と和やかに世間話を交わしてみたり、鬼宿の冗談に笑ってみたり。

「今日は皆、よろしくお願いします!遂に来たよ、この時が!」

「せ、せやな!こちらこそ……頼んだで巫女様!」

「うんうん。頑張んなきゃね!雪!」

この部屋に、井宿はいない。

朝も早くから星宿のもとへ赴き、今日の打ち合わせをしているのだ。――と、聞いている。勿論嘘ではないと思うが。

彼がもし此処にいれば、雪の空元気もこうはいかなかっただろう。

いつも通りに食べ、いつも通りに喋り、不自然さすら覚えるほどにひたすら「いつも通り」に明るく振る舞う……そんな姿は、事情を知る二人から見ればなかなか痛々しいものがあった。

深読みするなら、あまり顔色も良くないようにも見える。

「柳宿……俺もう、たまらんのやけど……」 

絞るように呟いた翼宿に、柳宿もただ辛そうに目を伏せるばかりだった。






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