二人のNGワード

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年齢差、身長差、挙げていたらきりがないほど、全てにおいて差のある二人。まるで釣り合わないと言われているような気分になるので、雪は他人からそれを指摘されるのが大嫌いであった。

他のことなら我慢するが、それだけは。

しかしどうしたものか、勢いで逃げてはきたものの、このまま帰宅しても気まずいばかりだ。――そんな事を考えながらふと通りがかったゲームセンターの前。サンタクロースよろしく袋を担いだ男に、雪は思わず声をかけた。

「翼宿?」

「あ?……雪か、なんや一人か?」

「うん」

担いだ袋はデコボコと歪に膨らんでいて、どうやら大量の戦利品が詰まっているらしかった。一体いくら使ったのだろう。

「そういう、翼宿も一人でUFOキャッチャー荒らしやってたの?」

「やりたくてやったんとちゃうわ。バイト先の奴に頼まれて仕方なくや」

「あ。女の子?」

「信じんでもええけど、残念ながらうちのオーナーや。ぬいぐるみ好きのおっさんやぞ」

ふーん。と鼻を鳴らした雪に目を細めた翼宿は、黙って頬を掻いている。さすがの彼も、この微妙な空気を察知しているようだ。

「ほんまは一人やないんやろ」

ぽつりと呟かれたが、雪は目線を落としたまま否定も肯定もしない。

「北海道に帰れって言って逃げてきた。私は家に帰れない」

「お前の言うことは相変わらず意味がわからん」

静かにため息をついた雪は、仕方なく事の顛末を語り始めた。

思い出すのも嫌なくらいなのに、翼宿は笑いたいのを堪えているように見える。

「……ふっ、ぷ、」

そのうち我慢の限界が来たのか、鼻や口から息が漏れるのを堪えることもできなくなっていた。そもそも頬が少しずつ膨らんできているので、もう無駄なあがきである。

「笑ったね」

「いや、すまん」

「そんなんくだらんわー、って思ったね?」

「怖いっちゅうねん、今日お前マジやな」

冗談で怒っても仕方あるまい。とはいえここで彼を責めても、惨めなばかりで事態は変わらないのだ。

「ごめん、つい八つ当たりしちゃった。……その同僚って、女の人だったんだけどね。なんか嫌味に聞こえちゃってさ」

「それはあれやろ?被害妄想っちゅうやつ」

「どうだか……、」

とは言いつつも、心の底では実は分かっていたりする。こればかりは翼宿の言うことが正しいのだと。卑屈になりすぎている。

――ポケットの中でスマホが震えるのが分かったのだが、雪は敢えて知らないふりをした。






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