【クトゥグア / Kutogua】



[物語]
───1.
雄々しく燃える大河ユーゲンレディア。ガイアの心臓とも言われるこの地に、一つの神が生まれ落ちた。それがクトゥグアである。その目に映るは美しい緑と、美しい赤。そしてその先にあるは闇。クトゥグアは何故生まれ落ちたのか、意味を知った。この先に広がる美しい世界を、守るためである。

───2.
クトゥグアは己があまりにも弱いことを知っている。故に対なる神の力を得てこの地を守ってきた。しかし、彼も彼女も共に、眠りが必要だった。その間は守ることができない。だから強大な力を持つ眷属を生み出した。一つは光の狐を、一つは堅い甲殻を有する蠍を、一つは剣なる火竜を、一つは愛する愛児を。そしてクトゥグアは愛児をその腕に抱き、眠りについた。

───3.
音がまた一つ、また一つと消える。轟音がまた一つ、また一つと轟く。蠢く闇が青に染まり、弾ける。よく知る女の啜り泣く声がする。よく知る女の憎しみの声がする。しかし、まだ目覚めることができない。その間にも世界という名のパズルが、一つ一つのピースへと変わる。もろく剥がれ落ち、簡単に壊してしまう。それでもまだ目覚めることができない。妹の啜り泣く声を耳にしながら、クトゥグアは未だ深い眠りにつく。





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