「何言ってんだっ!幸は意外と肌白いから普通のチョコのが映えるだろっ」

「何も分かっていませんね。ホワイトチョコだからこそ、幸一郎さんの厭らしさが増すというものでしょう」

「違うね!可愛いこうちゃんにはやっぱストロベリーチョコだって!ピンクこうちゃんかーわいっ!」



この3バカどもが何を言い合ってるかって言えばあれだ。
バレンタインに因んでどの味のチョコを俺の体に塗るのが1番エロイかってのを言い合ってる。
……もう突っ込む気にもならねぇよ。
寒いと動きが鈍るしな。いくら筋肉が暖かいっつっても寒いもんは寒い。
あいつらは年中元気だよな…

「海原さんっ、コーヒーどうぞ」

「おぉ、さんきゅ」

「あいつらホント頭残念っすね」

全くだ。顔は良いんだから黙ってりゃ良いのに。
馬鹿な議論を繰り広げてる所為で明らかにあいつらにチョコを渡そうとしてる女子や小柄な男が近付くに近付けなくて困ってる。
あんな馬鹿って分かっててチョコ渡すなんて凄ぇな。

「さっさと帰るか…」

最近ではこの三人が言い合うぐらいはどうって事無くなってきた。慣れって怖ぇな。
問題はもう一人加わった時だ。それよりも先に帰らねぇと。

「うっなばら君っ。まだ帰しませんよぉ」

「……町谷」

遅かったか。もう一人加わっちまった。
帰ろうとする俺の腕を引いて3バカの方へと引き摺ってく。
最近気付いたが町谷は意外と力が強いらしい。

「皆さんまだまだですねっ」

「なっ、どういう意味だよっ」

「今日はバレンタイン以外にも記念日があるんですよ?」

「何です?」

「それは、ふんどしですっ!」

町谷、ドヤ顔で言う事じゃねぇぞ。
もうこいつの事可愛いなんて思えなくなってきた。
何だ?顔が綺麗な奴は頭が可哀想なのか?

「ふんどしの日だったなんて知らなかったぁっ」

「だからチョコよりも海原さんにふんどしを穿かせた方が良いと思うんですよっ」

「幸の、ふんどし姿っ!」

「西條、鼻血が出てますよ」


あー、最も最悪な展開になった。
この四人が意気投合した時が一番面倒臭ぇんだよな。
つか何がふんどしを穿かせたら良いだ。
ただですら寒いのにそんな格好できるわけねぇだろ。

「というわけで海原君っ、ふんどし穿きましょうよっ」

「そうだぞ幸!ふんどしは日本の魂だ!」

「寒ければ俺が暖めてあげますよ。体で」

「こうちゃんのお尻早く見たーいっ」


何でこんな寒いのに元気なんだよ。
取り敢えず言い返す前に四人とも一発ずつ股間を蹴っといた。
これで暫くは動けねぇだろ。さっさと帰ろ。


「冬場の海原さんって容赦ねぇな」

「絶対冬場に海原さんを怒らせないようにしよ」




─────

海原さんは筋肉ムキムキだけど寒いの苦手です。
寒いと不機嫌になってノリも悪くなり口より先に手が出ます。
不機嫌な時に限り町谷にも容赦ないです。



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