一緒に寝る
一緒に寝た記憶。あれはいつだったのだろうか。
真夜中のこと。俺が寝ているときに、お前が俺の部屋に来た。
眠りを突然妨げられていたのをイライラしていたが、お前は酷く泣いていて、何かに怯えるような瞳を、放っておくわけにもいかなかった。
もちろん子供だったから、他意などない。何かに怯えるお前と共に寝ることにした。
「……ひとりはもう、いやなの!ひとりは……!!」
その体温は、痛いくらいに温かく。あの声は、忘れることができない。
次の日、お前は1人で眠れるようになった。
俺と寝た夜を、忘れたかのように。
お前は1人でも、もう平気になったかのようにみえた。
真夜中に目を覚まし、ぼんやりとした過去に思いをはせていた。
隣にいる、もう一人の温もりを感じながら。
――ケイスケは、今日も悪夢にうなされているのだろうか。
そう思い、寝顔を見ようとすると、ケイスケは起きていたらしく、目が合った。
偶然2人とも、同じタイミングで目が覚めたらしい。
「……覚えてる?」
ああ、覚えている。
「……昔も、一緒に寝たときもあったっけ」
ああ。
「今はもう、1人でも平気だけど」
……嘘をつけ。
「2人の方が……あったかいな」
ずいぶん、形は違ってしまったが。
fin.
あとがき
もしケイスケとアキラが2人で孤児院でおねんねしたことがあったらかわいい!と思って捏造。
一人で寝れるようになってしばらくたった時、わけもなく不安になることだってあると思います。
漠然とした不安を抱えたとき、誰と一緒に寝るのか。
ケイスケの場合、大人よりもアキラの方がなんとなく信用できそうな気がして、この場面が思い浮かびました。
ケイアキでもいいかな、と思いましたが、これはアキケイのほうがしっくり来るかな。
アキラのほうから体温を分けるからです…(笑)
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