ここではできない「話」をする仲
(※「ここではできないことをするなか」と読みます)
思い出すのは、すごくどうでもいいことばかりだ。
こいつはロマンチックなことばかり考えているだろうが
(ラインを使ってもいないのに、俺のことを「お姫様」と呼ぶのは勘弁してほしい)、
俺はその欠片もない奴だと思う。
それなのに、ケイスケは俺のことを好きになりやがった。
今俺が考えていることだって、甘さの欠片もないことなのに。
「覚えてるか?」
「……はい」
妙に礼儀正しい声が返ってきた。まだなにも話していないのに。
こいつが「上」にいるときは、旦那という言葉以上に似合う言葉のない奴になるのだが、
「下」の時、妻という言葉以上に似合う言葉がない態度になる。
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