飴色ブルー
ケイスケBADED2の要素が混じってますので、閲覧注意です。
――――――――――――――――――
「……愛してる……」
なんて美しい光景なのだろう。
雨の中に打たれながら、
血塗れの『何か』を持って踊る、
お前の姿が見えた。
血にまみれた光景を、人にはおぞましく見えるだろう。
だが俺は、その表情を、その光景を、美しいと思ってしまった。
飴よりも甘い声で、高らかに愛を謳う、その声に応える声は無い。
不意に身体に痛みを感じる。
腹の辺りか?
……ほんの少し痛いくらいだ。しかも触ると、なんだか温かい。
それよりも、独りで踊り続けるお前をみていた方が、遙かに痛みを感じた。
お前の顔に流れているのは、雨なのか?
それとも、お前自身の『雨』なのか?
悦びで啼いているのか。
悲しみで泣いているのか。
確かにお前は『全て』を手に入れたのだろう。その悦びにあふれている。
だが、俺は知っていた。
お前が本当に欲しがっていたのは、このようなものではなかったと。
なんでお前はこんなことをしてしまったんだ。
俺はここにいたのに。
お前が求めれば、俺はそばにいたのに。
お前の全てを壊し、俺の全てを壊してしまったお前は、その悲しみにあふれていた。
――俺が生きていれば、その声に応えたのに。
なんて美しく、なんて寂しい光景なのだろう。
>>next
prev / next