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そばにいたい

ケイスケ独白のケイ→アキ。
トシマで。

――――――――――――――――――


 いつから俺は、「アキラのそばにいたいから」と
 素直に言い出せなくなってしまったのだろう。

 アキラを追いかけて、この危険な犯罪都市『トシマ』までついてくるなんて、
 俺はとても無茶なことをしたと思っている。
 でも、俺が死ぬことよりもアキラが俺のそばからいなくなる方が、耐えられなかった。  
 アキラが自分の知らないところで、一人で死んでいくのは、
 もっと耐えられなかった。

 ――助けになりたい。守りたい。
 この危険な都市トシマでは何かしら理由をつけなければ、
 俺はアキラのそばにいることさえ許されないと思った。
 どんなに呆れられていてもいい。俺は弱いし、力もない。
 せめて手助けできることがあればと思ったんだけど、案の定呆れられた。
 それでもいい。俺にはアキラのそばにいる理由が必要だったのだから。

 「とっととタグを集めて、王とやらに勝ってくればいいだけだ」とアキラは言っていた。
 自分の命に関わることなのに、何事でもないような顔で言うのが俺には耐えられなかった。 アキラがどうしてここまで自分の命に無頓着でいられるのか、
 俺には耐えられなかった。
 アキラは、一人でいるつもりだったのだろう。
 ……一人で死ぬつもりなのだったのだろうか?
 アキラのことだ、死ぬつもりはないと思うけど、
 アキラがそこまで生きることに執着しているとも思えなかった。
「誰の助けもいらない」と、確かにアキラは言っていた。

 それでも俺は、何があっても、たとえ死ぬことがあってもアキラのそばにいたかった。
 こんな弱い俺だけど。
 ――アキラが死ぬようなことがあれば、俺がアキラを守って死ぬ。そうとまで思っていた。




 この気持ちがなんなのか、俺は知っている。
 でも、何があってもお前には伝えられないんだ、この気持ちは。
 せめて俺がアキラを守り、俺がアキラの助けになることで、この気持ちを果たそうと思った。
 たとえ、命に代えても。それが俺にとって難しいことであったとしても。


 そうすれば、俺でももう少しだけ、アキラのそばにいていい気がする。
 そう、思っていた。

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