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mail from you


*岡山から香川に 


件名:お疲れ様ですm(__)m 
本文:その件は込み入っているできれば電話で直接説明したい。今いいだろうか。


「…その件って、どの件?」

岡山からメールが届いた。が、香川はまったく心当たりのない内容に首を傾げた。何か彼との間に仕事を抱えていただろうか。
それ以前に、この文面。至急の用件を間違ってメールしてきたとしか思えない。「世話の掛かる奴め」と思いながらも、携帯のアドレス帳から岡山の電話番号を探し出す。
…実はわざわざ電話帳から探し出さなくても、短縮ダイヤルに入っているのだが。

「もしもしー。岡山ー?」
“香川か。どうした?”「今ウチにメール送ったやろ?」
“メール?あぁ。ちょうど東京に…って、まさか香川に送っとったのか?”
「やっぱり。そんな事かと思ったわ」

仮に岡山が自分に対して至急の用があるのなら、メールなんてせずに電話してくるか、直接家までやって来る。
それに、件名に『お疲れさまです』と入れるような他人行儀な事はしない。無題がほとんどだ。

“香川、今から暇か?”
「何で?」
“そっちに行く”
「は?東京さんに用事があるんやないの?」
“東京にメール届いてないやろ、だったら何も問題ないじゃろ。”

いやいやいやいや。そういう問題では無いだろうに。

“それに最近、香川の顔見とらんし。”

…何だ、このただしイケメンに限る台詞は! 香川は携帯電話を持ったまましゃがみ込んだ。



*****



*香川から岡山に


件名:※重要!
本文:お酒貰ったけど飲まないから…いる?

香川からメールが届いた。重要の文字を見て、一体何事かと眉を顰める。そして本文を見て脱力した。
そう言えば、香川はあまり酒を飲まない。かく言う自分も酒は嗜む程度で、決して飲める方では無いが。
ちゅうか、酒ならお前の弟が浴びるように飲むじゃろが…。と、彼女の弟である南国少年が脳裏を過ぎる。

「…ま、貰えるものは貰っとくか」

寄合会の面子では島根あたりがそこそこ飲むし、今度の飲み会で差し入れてもいいだろう。

件名:Re:※重要!
本文:貰う。いつ取りに行けばいい?

そう返信すれば、一分足らずで返事が来た。

件名:Re:Re:※重要!
本文:そっち行くときに持っていくよ。つまみヨロシク!

「これは酒をやると言うよりも…」

一緒に飲まないかというお誘いでなかろうか。自分に都合良く考えてみた。顔が緩む。誘われて悪い気はしない。
頭の中に時刻表を広げ、瀬戸大橋線の最終電車の時刻を考える。…間に合わなければ、最悪ウチに泊めればいいか。
そう決めると、カチカチと携帯電話を操作してメールを返信する。

件名:Re:Re:Re:※重要!
本文:つまみのリクエストがあれば作ってやる。

案の定、すぐに返事が来た。

件名:Re:Re:Re:Re:※重要!
本文:ワチ!

「ワチ?…あぁ、ママカリか」

何匹か仕入れて、刺身と酢漬けと唐揚げでも作ってやろう。特別に鯛そうめんもご馳走してやろう。
あと、デミカツ丼と桃とマスカットとフルーツパフェと…まで思いついて、さすがにこれはやり過ぎだろうと反省した。


End.

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