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いつもはクラシックな装いの大広間だが、今夜は深緑の幕に銀の飾りでスリザリンカラーに染まっていた。学年末の寮対抗杯は今年もスリザリンの圧勝だった。
スリザリン生は基本真面目であるし、仲間意識も強いため、実は地道にポイントを稼いでいるのだ。皆が笑顔で 色めき立つスリザリンのテーブルとは違い、他の3寮は「またスリザリンに持ってかれたか」といった風で不貞腐れているようだった。
教師陣のテーブルでも、幾分上機嫌にみえるセブルスと それを悔しそうに横目で見つめるマグゴナガル女史の姿があった。

宴の最中、ホールの入り口が突然開いたと思えば件のハリー・ポッターの姿があった。まだ青い顔をしていたが、気丈にもしっかりとその足で立っている。
その姿に3寮…特にグリフィンドールが湧き立つ。


「ねえ、噂は本当なのかしら」
「クィレル先生がホグワーツの秘宝を盗もうとしていたのをハリー・ポッターが阻止したって話?」
「どうせ、グリフィンドールお決まりの誇張だろ?」


スリザリンでもヒソヒソと確認し合うような声が目立った。全生徒ともに何かがあったらしい、ということはわかっているのだが3日も眠り続け面会謝絶のヒーローから、誰も何も聞き出せないでいたのだ。

そんな中、ダンブルドアが「賢者の石を守った勇敢な生徒たちに」と気前よく加点を加えていく。
ポイントを可視化する各寮の杯の中、グリフィンドールの杯に大量のルビーが降り注いだ。スリザリンのエメラルドの数と並び、そして悠々と抜いていった。
それを見てスリザリンは口をつぐみ、グリフィンドールから大きな歓声があがった。
ダンブルドアの杖の一振りで飾り付けが赤と金に、蛇のオブジェが吼える獅子に変わる。



「教授も贔屓だけど、一番の依怙贔屓は校長よね…」


スリザリンの蛇を模していた長いロールケーキが 獅子の顔のように作られたアップルパイにとって変わられたのを取り分けながらのディアナの呆れたような呟きに、周りのスリザリン生がうなづいた。

学年最後の夜が過ぎていく。夏休みはもう直ぐそこだった。










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