各教科の提出物は、生徒それぞれが持ってくるわけではなくて寮の学年代表が取りまとめて提出物する流れになっていた。
先週出したレポートの期限が今日の夕刻までで、めずらしくスリザリンのみが未提出だった。この学年の代表はディアナだった。


昼食の時間だから大広間にいるだろうと思い、歩みを進めると廊下の端で蹲っている生徒がいた。セブルスがちょうど探していた うつくしいシルバーブロンドの髪だったため、目を見張って小走りに駆け寄る。
顔色は血の気が引いて真っ白で、目が潤んで虚ろだった。すぐさま手を引いて立ち上がらせ、抱えて医務室へと向かう。




「月のものですね、スネイプ先生 大丈夫ですよ」


そういうマダム・ポンフリーの言葉に気が抜ける。思わずディアナを睨んでしまうと、ディアナは申し訳なさそうに肩をすぼめた。
ディアナは症状が重い方らしい。マダムから「今回は来なかったのか」と叱られて無理やり薬を飲まされていた。


「医務室にこれば誰でもこの薬が処方されるはずだが?」
「教授お詳しいですわね…」
「わたしが調合しているからな」


合点といった様子でディアナが頷いた。
医務室からの依頼で定期的に生理痛の薬を作っているが、ディアナはその薬が気に入らないらしい。

「飲んだら、口から湯気がでるんですよ。これじゃあ『わたし生理中です』と言っているようなものですわ」


そういうディアナの口の端からは微かに白い蒸気が出ている。かわりに、先ほどまでの体調不良は治ったようだった。
効き目はあるが副作用のせいで恥ずかしい思いをするということで、薬を嫌がる女子生徒が多いということをディアナから聞かされる。
生理痛の重さは人それぞれだというし、人によっては下腹部痛の他に眠気や倦怠感など症状は様々だ。ホルモンの関係の作用なので病気ではない。しかも性の話題なのでかなりデリケートな問題だった。


「ふむ…」
「なんとかなりませんの、教授」
「…やってみよう」



数ヶ月後、医務室の生理痛の薬の利用者が大幅に増え、満足げな薬学教授の顔がみられた。


「青白い顔で無理に授業を受けられても、気分が悪いからな」


というのはセブルスの照れ隠しだろう。










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