人の望みの喜びよ

朝が苦手なわけではなかったはずだ。
夜型の生活を送っていたがホグワーツで教鞭をとっていたこともあり、それなりに規則正しい生活をしていたと思っている。
セブルスはベッドの上で寝返りをうつ。
清潔なシーツに素足が擦れて心地よい。ついこの間まで冬だったのに いつのまにか過ごしやすい時季になっていた。ああ こういう事を感じる余裕ができたのも、この生活をするようになってからだな と思い至る。
全てが終わって、セブルスもディアナも お互いの虚を埋めるように身を寄せあった。それが、そう、とても 心地の良いもので。
セブルスは微睡んだ意識の中、再び目を瞑った。

先に起きていたのだろう、ディアナがやってきて ベッドの縁に腰掛け、こちらを眺めている気配がする。
案外、この娘は朝が早いのだということを一緒になってから知った。いつも早くから起きて、銀糸の髪を綺麗に結い上げている。朝は紅茶にミルクを入れるのだとか、小物は黄色のものが多いだとか、部屋には必ず花を飾るのだとか、そういったものを色々と知るようになった。
自分の側で人が生活するのは慣れないことであったけれど、彼女との日々は穏やかなものだった。穏やか、とはーーそういえば、あの日々の中では皆無だったな。

す、とディアナの白い腕が伸びてくる。
セブルスの髪に指を絡め、ゆっくりと梳きはじめた。飽きもせずに しばらく繰り返される。男の髪なんぞ弄って 楽しいものか。
ああ、それでも この心地よさに抗えないでいる。誰かと過ごすよろこびを知ってしまった。

ディアナの手が規則正しく髪を梳いていく。
まるであやされているようだ。不快ではないが、セブルスには物足りなかった。


ディアナの方へ寝返りを打ち、布団を拡げる。無言だったのだかディアナには理解できたらしい。

「ごめんなさい、髪を結ってしまって…」
「今日は日曜日だ」
「まあ、」


横になってせっかく結った髪が乱れてしまうの嫌がるディアナに焦れて 手を差し出す。ディアナはその手を取って困ったように笑った。


「ちゃんと言葉で言ってくださいな」
「きみともう一眠りしたい」
「合格」



このあとめちゃくちゃいちゃいちゃした。
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