キスに溺れる

薄い唇。愛しいひとの一部。
それが女の艶やかな唇を奪っていく。押し付けたかと思ったら 催促するかのように女の唇を柔らかく食み、優しく突き離してリップ音を立てる。
ああ どうしてもこんなに。
奥手そうな彼がーーセブルスがどこでこんな技を身につけたのかと ディアナは考える。非常に悩ましい。遊んでいたとしたらデスイーター時代だろうが、それらの遊びが きっと父に、ルシウスに 連れられてだったのだろうことが伺えるのが誠に腹立たしい。


「余所事を考える暇があるのか?」

顎の先を つい、と引き上げられセブルスの瞳が咎めるようにディアナを射る。そのまま また深く口付けられた。
ディアナの意識が引き戻され、セブルスに溺れていく。ぶくぶくと、他の思考が自分の中から出て行って、頭の中が彼でいっぱいになる。
彼の太い舌が歯列をなぞり、口蓋を愛撫してくる。ディアナの背筋にぞくりぞくりと快感が走る。どうしようもなく腰が砕けて、体を預けてしまうしかない。
はふはふ と息継ぎをして、縋るようにセブルスのシャツの袖を握ると、セブルスは気を良くしたように ディアナの腰を支える腕に力を入れた。

こんなキス、しらない。
こんなキス、しらなかった。

あなたに、
あなただから。



「責任とってくださいね?」


呼吸の合間に 彼が気に入っているブルーエメラルドの瞳で睨みつけてやると、いつもは冷静な彼の欲情した瞳が ニィィ、と細められる。


「生意気な口だ」
「それが好きなくせに」
「減らん口だな」


がぶり、と口を塞がれる。ディアナのくすくすという笑いはすぐに嬌声へと変えられた。

互いに溺れているのだから、このまま沈むしかないのだ。
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