日本旅行2



「お前がこんなにも流暢に話せるとは知らなかった」


日本に着き、その足で目当ての箒店に訪れている。セブルスだってイギリスでは飛行機や地下鉄を利用したことはあるが、日本の魔都市トウキョウの駅を迷うことなく颯爽と歩くディアナには舌を巻いた。今だって日本語をあやつって店員と談笑をしているのだから。


「翻訳コンニャクかもしれないわよ」
「なんだそれは」

すごい!ドラ◯もんまで知ってる!とはしゃいでいる店員を見るに、日本のジョークなのだろう。セブルスは諦めて肩をすくめた。
日本のクィディッチの歴史は浅い。イギリスで派生して、だんだんと世界に広まってきているスポーツではあるが アジア圏はまだまたま空飛ぶ絨毯のほうがメジャーなのだという。海外文化を取り入れる日本は別格で、この一世紀で強豪チームがいくつか出てきている。この箒メーカーも 日本チームのサポーターであった。
メイドインジャパンといえば 質が高いことでも有名な言葉だが、それは箒にも言えるのだろう。店内に展示された箒たちはセブルスの目で見ても質の高いものであるし、いろいろな要望に応えた商品が並んでいる。ディアナが探している箒も、イギリスでは対応のない 横座りができる箒だった。
しかしデッキブラシのデザインの空飛ぶ箒はどうかと思う。

それにしても見て回って、試乗してーーなにをまだ話していることやら。女性の買い物は長い。色をどうのこうのと話しているようなので 箒の留め具や付属アクセサリの購入を勧められているのだろう。
本国の箒はシンプルなものが多いが、ここの商品はいろいろ選べるのが魅力なのかもしれない。表情をころころと変えてショッピングをたのしんでいるディアナを見て、セブルスは休憩用のソファに腰を下ろした。




「セブ、お待たせしました。輸送してもらうように手続きはしてきたので、このままお店を出てもかまいません」
「納得のいくものは買えたのか?」
「もちろん、届くのがたのしみですわ」


届いた箒に乗って 甥っ子と遊ぶのが楽しみなのだろう、という言葉は飲みこんでおいた。


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