余裕です

星が瞬く夜(星といっても黄色い天体のことではない)俺はひとり優雅に部屋の窓を開け、最高級品の紅茶をすすりながら夜空を見上げていた。
エリートはやはりこれくらいの余裕は当然持ちあわせている。
そうだ、いつだってどんな時だって俺には余裕というものがある。
例え先程からチラチラと見える天体らしき黄色い物体が見えていようが関係ない。
俺はパーフェクトなんだから。
一杯目の紅茶を飲み終えたあとさすがに肌寒くなってきたので窓をしめた。
すでに黄色い物体の姿はなかった。……寂しいなんて思うわけがない。
ましてや、ここに来るのを期待して待ってた、なんてことも。
窓を閉めてソファーから立ち上がる。
「よおっ!」
いきなり黄色い天体が目の前に立っていた。
「なっお前っ!!いつ来たんだよっ!てか勝手に入ってくんなクソ天体!」
「ふーん、寂しそうに俺のこと見てたのはどこのお坊ちゃんだったのかなー?」
「はっバカかお前!見てねぇーよっ!」
「素直じゃねぇなまったく。ま、いっけど。」
どんっ
いきなり背中に衝撃を感じたかと思うと
俺はいつのまにか星に押し倒されていた。
「はっ!?な、な、なんだこれは!」
「押し倒したの。」
「じゃなくて、な、なんでこんな事してるんだ?」
「素直じゃないリクたんに素直になってもらうために?」
にやりと何か企んでいるような顔であいつが笑った。
「い、いいからど……」
最後まで言葉は続かなかった。
「ふっ、んんっ…」
いきなりの強引な口付けに息が続かない。
さらに深くなっていき舌を絡め取られる。
咥内を貪られ俺は頭の中が真っ白で何も考えられなくなっていた。
星のキスは、いつもこうして俺の脳内までおかしくしてしまう。
身体から力も抜けてかろうじて腕を伸ばしてしがみ付こうとした時だった。
いきなり星が上体を起こして「帰るわっ」と言い出した。
「えっ…?」
「ん、なに?何か困ることでもある?」
「あっ…あっ………」
何も言えずに真っ赤になって俯いてしまう。
俺にどうしろって言うんだよ、何を言わせるつもりだよ今度は。
「なんもないんなら行くわ!」
「あっまてっ……よ、」
思わず星の腕を掴んでしまった。こっから、ど、どうしたらいい?
チラッと上を向いて星の顔を見れば驚くことに固まっていた。
俺は不思議に思い、首をかしげてどうしたんだ?と尋ねた。
「はぁーーーお前ってほんとずるいわ!」
「はっ?何が?」
「だからそれっ……何でもねぇー。」
にやっと笑って気が変わったと言いだし、また俺を再び押し倒した。
しかたないから今度は俺からも腕をまわしてやった。
俺には余裕があるからな。

*****

無自覚に上目使いで星を煽るりったん。
余裕なんてこれぽっちもないりったん。

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