呼吸をするように

確か今の今まで俺たちは口喧嘩をしてたはずだ。
それなのに今はお互い黙って見つめあってる状態。
「ほ…し…」
「黙ってろ…」
心なしかお互いの声が震えていた。
視線を逸らしたいのにはずせなくて
身体は金縛りにあったように動かない。
星の掌が俺の頬に近づき触れそうになる。
ここから動かなきゃと頭ではわかっているのに。
不意に頬に触れた感触にびくりと肩が揺れる。
同時に星の顔が近づいてきた。
こんなの違う、間違ってる。
そう思うのに身体が言うことを聞いてくれない。
「くそっ」
唇が触れる瞬間星が呟いた。
一度触れればそうするのがあたりまえだったかのように
お互いに唇を貪り合う。
啄ばむように触れていた唇が
今では融け合うかのように熱く甘く深くなっていた。
「……ンっ」
「リ…ク…」
「んっ…ほ…し…」
もう後戻りはできない。
だけど俺たちにはこうすることが必然だったように思える。
お互いに求めあいながらどんどん堕ちていく。
だけど星と一緒ならそれも悪くないと思えた。

fin.

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