取材で訪れた地…そこは灰に塗れた悲しみの大地だった


「……鳩……?」


灰色がかる青い空に、小さな白い影を見つけ、ミリアリアはその名を紡いだ。
こんな……汚染された空でも、あの鳥ははばたいている。


彼女は、少しだけ、救われた気がした――





この汚された大地で





さくさくと、音がする。
それはミリアリアの足音。
草を踏む音。
地面に息づく草々は、彼女の足が触れるたび、哀しく姿を消していった。


――泣きそうになる――


取材でやってきた、とある島の山道を、それでも彼女は、一歩一歩、前へ進んだ。

静かに、上へ。

その最中、一輪の花を見つけ……何気なく手を伸ばしてみる。
灰色がかった、小さな花。
本来なら、鮮やかな赤い色をまとっているだろう花は、指先が触れただけで、ボロボロと崩れていった。


何故、こんな世界になってしまうのだろうか。

わずか一年前までは、この島も、緑豊かな空間だったのに。


今はもう、空気が淀んで。
水は濁って。
あふれる自然は、うっすら、灰色の粉を被っている。



なんて……
なんて哀しい景色なのだろう……



堪えられず、ミリアリアの瞳から、一筋の涙が零れた。



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