同じ時、同じ場所で大切な人を失った少女たちの邂逅。


戦争が終わり、私は一つ、家族にわがままを言いました。
それはとても難しいこと。でも、私はどうしても、その願いをかなえたかったのです。
行きたかった。
せめて最期のその場所だけは、この目に焼き付けておきたくて。
もう二度と会えないなら、せめて最期を迎えたかの地で……






憎しみと苦しみと哀しみと救い





「…………」

わがままが許されたのは、それから三ヶ月ほど経過した、ある冬の日のこと。彼女は願いの地を踏みしめていた。
冬の風は、冷たく彼女の身体を襲う。冷たいどころか、痛みすら感じてしまうほどだ。
穏やかな海と、寂しく立ち並ぶ岩場が、恐ろしいギャップを感じさせる。

「こんな場所で……」

顔を背け、彼女は呻いた。
こんな場所で、あの人は死んだ。心優しいあの人は、この地で、15年という短い一生を終えてしまった。


私をおいて、先に逝ってしまった……


「……ニコル……」

彼女は愛しい人の名を呼んだ。



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