ディアッカが日舞を披露



レンカ
恋歌
コ イ ウ タ






太陽が燦々と輝く空の下、ミリアリアは、ディアッカとデートを「させられて」いた。
「して」いるのではない。「させられて」いるのだ。ここは、ミリアリアさん的には譲れない所で。

ディアッカは、ミリアリアをよくデートに誘う。
付き合ってもないのに、デートなんかしない! と突っぱねるミリアリアを、ディアッカは無理矢理引っ張り出す。いつもそんな感じだ。

やっぱり今日も、似たような感じで連れ出された。
意に反して連れまわされてるのだから、つまんないって言わないと……と思っていても、街中をうろうろする内に、なぜか、いつの間にか楽しまされている。


本当は、好き。
でもまだ、彼の横に立つ勇気が無いのだから、本当はこういうお誘いも、ちゃんと断らなくてはならないのだけど。


……いつの間にか、流されている。


はあ、と大きなため息をつき、ちょっと落ち込むミリアリア。そんな折、彼女の耳に、陽気な音楽が届き始めた。
目をやれば、いるのはストリートダンサー。
曲に合わせ、身体を動かすダンサーに、ミリアリアの目は釘付けになる。

「何? ミリアリアってば、踊りに興味あり??」
「興味って言うか……綺麗だなーって」
「そっかー。綺麗かー……じゃ、俺の躍り見てみない?」
「あんたの、踊りぃ?」

ものすごく嫌そうに、ミリアリアは眉間にしわを寄せる。

「おいおい、んな顔すんなよ。これでも日舞、結構得意なんだぞ?」
「でもねー。あんたの踊りじゃねー……」

日本舞踊を舞うディアッカ。
――かなり想像出来ない。

しかしディアッカは、自信たっぷりに言い切った。

「俺の舞見たら、お前、絶対惚れるわ」
「惚れる自信が無いんだけど」
「終わった後が見物だな」


惚れさせる――
下手だったって言ってやる――


二人の間に、よく分からない攻防の火花が弾け飛んだ。


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