ミリィさん、お菓子作りは上手いけど…


料理教室





ことん。
テーブルに置かれる白いお皿。
並べられるは、焼きたてのクッキー。

端っこから一枚手に取ると、ディアッカは豪快に口の中に放り込んだ。

ざっくざくと音をたて。
時間をかけて噛み砕き。
ごくんと飲み込んで、彼は言う。

「お前の作るクッキーって、美味いよな〜」
「そお? ありがと」

エプロンを取りながら、クッキーを焼いた人・ミリアリアは、朗らかに笑った。
褒められて嬉しくないわけが無い。それが好きな人とあらば、なおさら――

「ほんと、クッキーだけは美味いよな〜」
「――どーゆー意味よ、それ」

続いて出てきた聞き逃せない言葉に、ミリアリアは顔をしかめる。

「だってミリアリア、クッキー以外めためたじゃん」
「う――」

反論したい。
ミリアリアは、すごく反論したい衝動に駆られた。
けれど、どうやって言い返せというのだろう。

昨日作ったハンバーグも。
一昨日作ったカレーライスも。

……ディアッカの料理と比べると、天と地ほどの差があって。

「大体ミリアリアは、包丁の持ち方からしてなってないんだよ」

笑いながらディアッカは台所に向かうと、まな板と包丁をセッティングし、冷蔵庫からジャガイモまで取り出した。

「ほら、ボーっとしてないでこっち来いよ」
「え? 何するの?」
「料理教室」

ディアッカは無邪気に、にかっと笑った。



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