「もう一度逢うときは」の別バージョン



戦火に戻る夕暮れ時







赤く燃える夕日の中、三人は互いの意見をぶつけ合っていた。
ザフトに戻ったアスランと、再び第三勢力となる道を選んだキラとカガリ。
三人を引き合わせたミリアリアは、その様子をじっと見ていた。
自分の考えは言わず、ただ、静かに。
そして考える。自分のとるべき道を。

空は赤かった。
泣けるほど美しい『赤』。
この空で今、再び戦いが起きている。

二年前の……あの戦争は何だったのだろう。あれだけみんな傷ついて、苦しんで、たくさんの命を犠牲にして得たはずの「終戦」は。

守りたいと戦場に出たところで、失うものの方が多い事を、ミリアリアは二年前に知った。
同時に、それでも戦わなければならない時があることも。

だから、決めた。アークエンジェルに戻ると。
世界を守るために。





〈さあて、どうしたもんかな……〉

キラとの待ち合わせの場所へ赴くミリアリアの頭を悩ませるのは、最愛(と言うのはかなりこっ恥ずかしい)の人、ディアッカ・エルスマンのことだった。
ザフトに戻った男。よくあの状況で複隊できたなあ、と思うことしばしばだが……そんなことはどうでも良い。

離れていようが、二人は連絡を取り合ってきた。
ザフトと連合が再び争いを始めようがお構いなしに、秘密裏に軍用回線を使ったり、それはもう色々な手を使って。
ただ、ミリアリアはカメラマンとして各地を飛び回っているため、この頃は目下、彼女から連絡を取り付けていた。

はっきり言おう。ただ今の状況下で、ディアッカからミリアリアに連絡を取る術は無い。
だからこそ、自分からちゃんと話さなくてはならないのだ。

また、アークエンジェルに乗る――と。

これが何を示すのか、彼女だって分かっている。下手すればザフトと戦うことだってある。
ディアッカとも――


〈でも……〉


乗ると決めた。守るために戦う、と。だからちゃんと、ディアッカには伝えなければ。


〈きっと反対するだろうな……〉


ミリアリアの予想は――もちろん的中することとなる。





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