「……うっそー……」
「……何だよ、その疑惑の目は」
「だって……信じらんない」

ディアッカの瞳を真っ正面から見据え、ミリアリアはきっぱりと言った。

「年上なんて」




バースデイ






サイの誕生日を一週間後に迎えたその日、ミリアリアにとっては信じがたい事実が発覚した。
――ディアッカが、自分より年上という事実が。

「そりゃ確かに私と比べれば、すごく老け顔だけど……」
「まて。そこは大人びてると言ってくれ」
「こんなに子供っぽいのに」

ミリアリアが、ディアッカのツッコミを気にかけることはなかった。

――微塵も。

「まさか、サバ読んでないわよね?」
「そんな中途半端なウソ、つきませんて」

言ってディアッカは、降参のポーズを見せる。

「……そんなに信じられない?」
「――ていうか、ディアッカが私より年上なのが、ものすごく癪にさわる」
「んな無茶苦茶な……」

いくらディアッカでも、自分の誕生日まではどうすることも出来ない。そのため、少しでも自分が年上であることを良い方向にとってもらおうと考えた。
軽い、冗談のつもりで。

「いいじゃん、年上の彼氏って――」
「私、あんたと付き合う気、さらさら無いから」

流されるの覚悟で言った割に、あっさり切り捨てられて悲しくなってしまう。

どうにかサイの誕生日を祝ってやれないか……そんな話をしていたはずなのに、なぜここまでこじれてしまったのか。
ディアッカにしたら、ミリアリアが自分の年齢に食いついてきたことの方が不思議だったりする。

「そんなに嫌? 俺が年上って」
「だって……変な年上風吹かれそうで」

それはつまり、年上なのをいいことに、無理難題色々言いそう――ということだろうか。
……心外極まりない。

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