視線の先にアレがある。
私達を守る守護神であり、命を簡単に奪ってしまう悪魔の産物。

その名は――ガンダム――





視線に…






あれを見てると、どうしようもなく悲しい気持ちになる時がある。

兵器。

巨大な兵器が目の前にあること自体、実感の持てない時期もあった。
自分が戦争の真っ只中にいるという自覚も、大切な人を失って芽生えた。

そしてまだ、私は戦争の真ん中に……
戦場にいる。

でも、本当の先頭に立っているのは、パイロットであり、MAであり、MS。
私はいまだ実感の持てないまま、人殺しの片棒を担いでいる。
たとえ私がトリガーを引かなくても、戦艦に乗るのは、そういうことだ。

「…………」

これは自分で決めたこと。
自分で決めて、ここに残った。

でも――苦しい。

耐えられず、私は手すりに顔をうずめた。

*前次#
戻る0

- 36 /66-