想いは力になる。











数日のあいだ居住地としていたコロニー・メンデルを離れる日が来た。
みな一様に、メンデルに想いを馳る。

たくさんの人が、たくさんの想いを、このメンデルで抱かされた。

ある者は友人へ。
ある者はかつての仲間へ。
ある者は、自分と同じ血をわかつ存在へ。

ミリアリアは友人の身を安じた。
ディアッカは、友人であり、大切な仲間であった少年を想う。



「もう見えないね、メンデル」
「……ああ」

展望室に、優しい声が響いた。

片やAA発進当初から、この場所でメンデルを見送ったディアッカ。
片やCICの仕事をこなしてからやって来たミリアリア。
彼女が着いた時にはもう、メンデルは肉眼では見えなくなっていて。

「なんか……色々あったよね」
「勘弁してほしいくらいな」

ディアッカから皮肉が飛ぶ。

「ただ、居場所が変わるだけで、こうも扱い違うの
って……分かるけど……なんかヤだな」
「うん」

それはミリアリアも感じていたこと。

ついこの間まで味方だった人が敵として現れたり、逆に敵だった人が味方になったり。

でもそれは……相手も同じことだろう。

だから余計に辛い。

「みーんな一気に争うのやめてくれたら……きっと楽なんだろうなあ」
「無茶言わないの」

それが出来ないから、戦争は続く。
分かりきってることだ。

でもそれは、みんなの願い。



誰もが戦いたいわけじゃない。
願うのは平和。侵食されない、穏やかな日々。



ディアッカが願うのは、ミリアリアの平和。



きっと戦争が終われば、二人は離れ離れになる。

ディアッカはプラント、ミリアリアはオーブへと。
それが今生の別れになるかもしれない。


それでも構わないと彼は思った。
自分が側にいなくても、彼女が幸せに暮らしてくれれば……

だから早く戦争を終わらせたい。
例え友人に分かってもらえなくても……戦うことになっても。



一刻も早く、彼女を戦火とは関係のない世界へ戻すために。



願うは平和。
ミリアリアの命の、危険性がない世界。

ディアッカは戦う。
想いを力にかえて――





-end-

結びの一言
なんか……書いてる内に方向性が変わってる……(汗)

お題配布元→ディアミリストに30のお題

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