僕を呼ぶ声


扉は、何の前触れもなく開けられた。
議長室を守る重い扉。それを開けたのは、評議員服を纏った四十代前半の女性。

「……なんだい? カルネア」

ふう、とため息をつき、今や議長室の主となった現議長「代理」は、ノック無しに入ってきた女性・カルネアに目を向ける。

「真意を問いに来た」
「何の?」
「ラクス・クラインの件に決まっているだろう!」

彼女は、まるで襲いかかる勢いでたたみかける。

「ちゃんと納得の行くよう説明しろ、クルゾフ! 事と次第によっては――」
「――どうする、というんだ?」

議長「代理」・クルゾフもまた、挑むようにカルネアを見、呟いた。


「……私はただ、平穏な未来が欲しいだけだ」


それはまるで、祈りのように。







-ソラニマウヒカリ-
PHASE6−僕を呼ぶ声







エレベーターが下りていく。
下へ下へ、ひたすら下へ。
風景は変わらず、何時まで経っても鉄の壁ばかり。そんな風景に飽きながら、レイは静かにアネハを見た。
正確には、彼に抱えられるミリアリアを。




〈ミリアリアさんっ!!〉





彼女を傷つけられた瞬間の、シンの必死な形相が頭を過ぎる。どうやらシンにとって、ミリアリア・ハウは大事な人間らしい。


何故??


シンとミリアリアの接点など、レイには全く想像がつかない。シンを餌にミリアリアをおびき寄せると言われた時でさえ、話は全く繋がらなかった。何せレイはザフト時代、シンの素性を調べつくしているのである。考えられるオーブ居住時代も、彼女の存在などどこにも無かったはずだ。

興味が訪れる。
二人は一体、どこで出会ったのか。
そして、ミリアリア・ハウとは、どういう人物なのか。


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