シンとルナ




-ソラニマウヒカリ-
PHASE∞−〜The last story of a star〜
WEB拍手にて公開した、その後の彼らの一幕





「ねえ、これなんて良いんじゃない?」
「……うーん……」

とあるレストランで、シンとルナマリアはカタログと睨めっこしていた。
なにやら、探し物をしているらしい。
選んでいる、というか。

「それよか、こっちの方が……」
「えー、シンてばセンス無いなあ。絶対こっちの方が可愛いって」
「でも、ディアッカさんならこっちの方が喜びそうな――」
「甘いわね、シン」

びっ、と人差し指でシンの言葉を遮ると、ルナマリアは自信満々にこう言ってのけた。

「あそこはミリアリアさんが主導権を握ってるの」
「そりゃ、見てれば分かるけど……」
「なら、ミリアリアさんが喜びそうなものをあげるのが、一番だと思うわ」

異論があるような――無いような。
混迷の眼差しをはぐらかすよう外に向けると……その色は、一瞬で別物に変わった。
ルナマリアに、疑問符が飛ぶ。

「……どうしたの?」
「や……うん。……時々、考えるんだ」

徐に、シンは口を開いた。

「こんな幸せの一つ一つが……また、壊されたら……って」
「シン……」

遠くを見つめる瞳に寂しさが灯る。
夜空がシンに寂しさを与える。考えたくない絶望を抱かせる。
いつかまた、戦争が起こるのではないか――と。



――そんなことはない。
絶対に。
起こらないし、起こしてはならない。
そう意思を強く持ち、ルナマリアはシンに語りかける。

「大丈夫よ。みんな頑張ってる。みんな――……争いの無い世界が欲しいって思ってるんだから」
「…………ごめん。弱音、吐いて」
「良いよ良いよ。シンの弱音聞くのなんて、この頃じゃ珍しいことだし」

まあ、毎日聞かされたらたまったもんじゃないけど、なんて続けつつ、ルナマリアは安らぎの瞳をシンに向けた。

「アスハ代表や、ラクス様を信じよう。地球とプラント、それぞれに生きるみんなを信じよう。いつか本当に、わだかまり無く接せられる日は、きっと来るよ」

そう。今は。
今はただ、選んだ道を信じて進むだけ……




結びのコトバ
シンとルナマリアが選ぶのは、ディアッカさんとミリアリアさんへの贈り物…


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