海と青空と四人組





青い空。白い雲。流れる風は爽やかで、まさに観光日和の今日この頃、ディアッカは、浜辺に居た。
海水浴を楽しむ若者達の中に、違和感の「い」の字も見当たらないほど、自然に溶け込んでいる理由は――

「お姉さん美人だね〜。ど? あっちでお茶でもしてかない?」
「え〜? どーしよっかなー……」
「ねえ、あっちの男の子も一緒なの?」
「あ? あそこでムスッとしてる銀髪おかっぱとアロハパーカー? もちろんもちろん。何? あっちの方がお気に入り?」
「君もカッコ良いんだけどねー」
「てか、珍しい色よね。髪は金色なのに、肌が茶色なんて」
「そりゃ、俺一応コーディネーターだから。その辺いじられて生まれてきてんの」
「君、コーディネータなーなの?!」
「そ。あれ? オーブじゃ珍しくは無いと思うけど?」
「ごめんごめん。この辺、あんまり居ないんだわ、コーディネーターの人」
「そ〜なんだ〜。んじゃ、生のコーディネーター、骨の髄まで堪能してってよ」

ディアッカと、ディアッカを囲む女性達の会話である。
典型的過ぎて寒いものが走るディアッカのナンパ文句に、これまた典型的過ぎて体が震えてきそうな返答で返してくれた地元の女性達を、銀髪おかっぱとアロハパーカー……もとい、銀の髪のイザークと、アロハ系のパーカーを無理矢理着込ませられたアスランは、白い目で見ていた。

どうして彼らのやり取りは、こんなに古めかしいのだろうか……
そう思いながらも、アスランはムッと頬を膨らます。

「……好きで着ているわけじゃない」
「じゃんけんに負けた貴様が悪い」

ビーチは暑い。それにビーチに合った格好というのもある。そんなわけで、海にくり出すと決めた四人は、服選びで困ってしまった。
マルキオ導師が気を利かせて用意してくれた服――三着はまだ普通の服だったのだが、残り一着が、なぜかアロハ仕立てのパーカーと奇抜な色のハーフパンツ。趣味は決して良い方とは言いがたく、自分達で用意したい気持ちは多分にあったが、これはマルキオがわざわざ用意した服なのである。
着たくない――とは言えない。
そのため、四人はじゃんけんをした。勝利者から順番に服を選んでいった。
最後に残ったのは……アスランだった。

「それにしても……」

ふと、イザークは後方に目を向けた。
アスランも続き、視線を送る。
前方でディアッカがナンパ劇を披露しているように、彼らの後方でも、ナンパ劇が上演されているのだ。

「ねえ君。お友達なんか放っておいて、一緒に遊びましょうよ」
「え、でも……えーと……」

ディアッカとの違いをつけるなら、こちらは逆ナン劇場。
キラが――これまた地元女性に――ナンパされているのだ。
見た所十代後半から二十代といった様相の、美人系の女性に。




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