辿る道 「……なんか、すごいことになってるわねー……」 「ミリアリアが発案者じゃんか」 「いや、けど……」 二人の様子が気になって、キラ達の方にやって来たミリアリアとディアッカは、シホの努力っぷりを前に、冷や汗を流してしまった。 それはキラも同じでー― 「……どうしたの? 彼女」 「まあ、色々あって、サイと仲良しになってる最中というか、なんと言うか……」 「色々? ……まあ良いや。サイも、まんざらじゃ無さそうだし」 「そうですか? 困ってるようにも見えますけど……」 困っているように見えると言いながら、ラクスはのんびりと、二人のやり取りを見てるだけ。 助けに入る意思は全く無いらしい。 「……確かに、そんなに困ってない、とゆーか……」 「ちょっと楽しそうなんだよね」 「あんな女に絡まれて、どこが楽しいんだ? あいつ……」 「それは、ほら。あれだよ」 人差し指を立て、キラが言う。 「好みの問題」 その瞬間――シホの耳が、ぴくりと動いた。 「あ、そっか! そうだ!」 彼女の反応に気付かず、ミリアリアも声を上げる。 「シホさんって、サイのストライクゾーンだ!」 「シホが?!」 ディアッカもまた、素直に驚く。 「どうして……どうやったら、あいつが好みのタイプになれるんだ?」 「サイって、強気な女の子が好きなんだよ。ちょっと我儘な方が、ツボに入っちゃうの」 「なぁんですってええええっ?!」 その瞬間、シホは飛び退いていた。 激しいリアクションと共に、サイから四歩ほど距離をとると、彼女は衝撃に震え始める。 「そんな……そう! 貴方、私を狙っていたのね?!」 「は?」 「邪な感情があるから、私に協力していたのね!! この卑怯者!」 「なんでそーなるんですか!!」 的外れなシホの叫びに、サイは思わず叫んでしまった。 協力していたのは、有無を言わさず、無理矢理こんな所まで連れて来られたからで―― 「隊長、助けて下さい! あの眼鏡、私を変な目で見るんですッ!!」 「……貴様、人の部下に手を出す気か?」 「言いがかりだーッ!!」 イザークにまで睨まれ――サイは、夜空に魂の訴えを響かせた。 |