大モテ☆キラを取り合うアスラク戦


その時、キラは究極の選択を強いられていた。
二択。究極の二択である。


それは、アスランを取るか、ラクスを取るか――





選択肢






もう少し、詳しく説明しよう。
キラが、アスランから買い物に誘われた。
久々に休みを取れたから、オーブを……外を歩きたいけど、一人で行くのもなんだし、一緒に行ってくれないか――みたいなことを言われて。

要は、キラと出歩きたかっただけなのだが。

まあ、そんな話を振られている最中、二人の前にラクスが姿を現した。
彼女もまた、キラと出かけたくてやって来たのである。


そして争いが始まった。


「アスラン。あなた少し、キラにくっつきすぎではありませんの?」
「それは貴女でしょう? ラクス。どさくさに紛れて、キラと一つ屋根の下に入って……」
「当たり前ですわ。私とキラは愛し合っているのですから。例え同棲していたところで、貴方にとやかく言われる筋合い、ありませんことよ?」
「同棲じゃなくて、同居でしょう?」

アスラン的には譲れない所らしく、すかさず訂正が入れられる。

……ああ、何だろう、このいがみ合いは……
キラは、完全に置いていかれていた。事件(笑)の中心人物であるはずなのに、ひたすら置いていかれるのみ。
彼を蚊帳の外に放り出し、二人の喧嘩はエスカレートしていく。

「……あ、あのさ、二人とも……」
「キラは黙ってろ」
「おとなしく見ていて下さいな」

仲裁に入ろうとすれば、二人から、かなり低めな声量で、とてつもなく無茶な答えが返ってくる。

黙ってろ?
おとなしく?
自分の事なのに??
しかも――まだ、出かけるとすら言って無いのに??

そう。キラはまだ、出かけるとは言ってないのだ。
どちらかと遊びに行く――云々の前に、了承すらしていない状況で、この始末。


頭痛がしてくる。


そんな折、来客を告げる呼び鈴が鳴り、遠慮がちに玄関が開いた。

「お邪魔しま〜す……」

やって来たのは、なんとカガリ。

「よっ、キラ……って、どうしたんだ? 頭抱えて。……痛いのか?」
「いや、大丈夫……ところで、カガリはどうしてここに? 今日は仕事……」
「久々の休暇だ」

言ってカガリは、にかっと笑う。
だから彼女の護衛であるアスランも、休みが取れた……という訳かと、キラは何となく理解した。
理解して――大きなため息をつく。

「で、久々だから、キラと遊ぼうと思って……たんだけど……」

頬に冷たい汗を伝わせながら、カガリが瞳を二人に向ける。
こちらに気付くことなく、ひたすら口論を繰り広げまくっている、アスランとラクスを。

「……モテモテじゃないか」
「こんな形でモテてもねー……」
「けど……すごいな。ラクスが喧嘩するの、はじめて見るぞ……?」
「うん。アスランがラクスに食ってかかるのも、僕ははじめて見るんだけど……」

それだけ、二人は必死だということ。
自分と出かけたいと、必死になっている証拠。
そう分かりながら、キラは言った。

「……あんまり、関わり合いになりたくない」
「言えてる」

カガリも即答する。
二人からすれば、別に喧嘩なんてしなくても、みんなで仲良く出かければ良いじゃないか――という話で終わってしまうのだ。

「……なあ、二人でこっそり出かけないか?」
「……そうだね……」

こっそりこっそり、屋敷を出るキラとカガリ。アスランとラクスの二人が、キラがいなくなったことに気付くのは――これより、一時間ほど後の事だった。





-end-

結びに一言
当初は、キララクを書こうとしていたと思われます(爆)
……なんでこうなってるんだろう……

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