ステラ捕縛後、彼女の元に入り浸るシンに…


嫉  妬




分からなくなった。
守るべきもののために戦ってきた。
みんな、プラントのために戦っているはずなのに……はず、なんだけど。

どうもシンは、違う気がする。
この頃のシンを見ていると、どうにも苛々する。
特に、この娘。今、私たちの目の前に横たわる女の子・ステラが絡むと、シンの態度はいつもと全然違ってくる。
彼女はガイアのパイロットで、エクステンデッド――要は強化人間。人体実験のなれの果てという、可哀想な境遇の子なんだけど……

「シン……そんな、着きっきりで看病しなくても……何のための医療班よ」

私とシンはパイロット。それにこの子は連合の人間。
敵。
私達が戦う相手なのに、シンは一向に動き出そうとしない。

「心配なんだ」
「……心配なら、傍に居なくたって出来るわ」
「冷たいな……ルナ」

客観的な意見を言ったら、ひどい冷血漢だと言わんばかりの視線を向けられた。
なんで??


苛々する。


「冷たくもなるわよ……私達がその娘に、どれだけやられたと思ってるの? ガイアに乗ってたってことは、ハイネを殺したの――」
「――あれは!!」

私の主張を遮り、シンが立ち上がる。
言葉を続けようとして、でも、私の威圧に負け、押し黙り――

「あれは……あれは、フリーダムが、あんなことしなきゃ……」

――なんて、見当外れもいいことを言い出してくれた。
あきれるしかない。

「じゃ、フリーダムが出て来なければ、ハイネは死ななかった?」
「ああ」
「で、その娘が代わりに死んでた、と」
「ルナ!!」

とうとう、シンは怒り出した。
私、そんなにふざけた事言ってるのかしら。

「ひどい事言うな! そんな……そうとは限らないだろ?!」
「どうして?」

矛盾を突く言葉が、シンの自由を奪う。

「あのまま戦えば、きっとどっちか死んでたと思う。その娘とは、そういう関係なのよ? 分かってる??」
「分かってるよ!」

シンの目が、分かってないと言っている。
……だめだ。こいつ、周りがちゃんと見えなくなってる。


「問題をすり替えないで。確かにフリーダムが介入しなきゃ、ハイネは死ななかったかもしれない。けど、最終的に命を奪ったのはその娘よ」


それが現実。
どんなにシンが彼女を守ろうとしても、この事実は変わらない。


彼女は、悪意を持って、ハイネを殺した。


フリーダムによって無力化されたとか、そんなの関係ない。
ハイネはこの娘に殺された。
何人もの仲間が、この娘に殺されたのに……


「でも俺……守るって約束したんだ、ステラを……」


それでもシンは、彼女の側に回った。


胸の奥底から、汚い気持ちが溢れ出す。


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