種終盤、ルージュに乗る決意をしたカガリは


覚悟の証






本を読むアスランがいる。
その後ろ姿を前に、カガリは、迷いながらも声をかけた。

「……なあ、アスラン。頼みがあるんだが……」
「頼み?」
「その……シミュレートに付き合ってほしいんだ」
「……何の?」

それまで穏やかだった表情が陰る。
カガリは言いにくいものを感じながらも、勇気を振り絞り、彼に告げた。

「MS……の」

――パタン。
決定的な言葉と同時に、読んでいた本を閉じ、鋭い眼差しをカガリに送る。

「どういうことだ?」
「ほら、もうすぐルージュが完成するだろ?それで――」
「乗る、のか?」
「ああ」
「駄目だ、と言ったら?」

椅子から立ち上がり、カガリに歩み寄るアスランは……怒っているようにも見てとれて、迫力負けした彼女は、数歩後ずさってしまう。
大きく一歩足を引いたところで、カガリの腕は捕まった。

「俺が許すと思うか? そんなこと」
「だが今は、少しでも戦力が欲しい」

カガリは言い切る。

「私は戦う力を持っている。黙ってブリッジにいることなど出来ない!」
「君は――君は、オーブの指導者になる人間なんだぞ?!」

たまらず、アスランは叫んだ。
それはタテマエ。
危ないことをしないでと、心が悲鳴を上げている。

「君は前線に立っちゃいけない……君が死んだら――」
「私は死なない」

アスランの言葉を遮り、カガリは断言する。

「私はオーブを導く者として、この戦争に参加するんだ。だから、絶対に死なない」

戦争に、絶対なんてない。
アスランの目の前で、死なないと思っていた人間が、次々と死んでいった。
……と言ったところで、カガリは引かないだろう。

彼女とて、同じ思いを経験してるのだから。

「……分かったよ」
「本当か?!」
「ああ」

彼は脱力し、大きく息をはき出すと――顔を明るくするカガリを引き寄せ、抱き締めた。

「え? ぇえっ?? あすっ、アスラン?!」

突然のことに、カガリは対応しきれない。

「おい、何だよいきなり!」
「決意の証」
「はぁ?」
「君を守り切るって、覚悟」

アスランが微笑む。

「私は――」
「守らせてくれ。じゃないと俺、心配で、戦闘に集中出来ない……」
「……分かったよ」

言ってカガリも、アスランの背中に手を回す。

お互いのぬくもりを確認して。


そして二人は、宇宙に出た――




-end-


結びに一言
前作を反省してまともにアスカガ(爆)
ルージュに乗る決意をしたカガリとアスランの間に、色々あったら楽しそうだなあ…と(^^;

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