人はあの夜空に輝く星なのです、と教えてくれたおばあちゃんはもういない。流れ星がきらりと輝いた夜に死んでしまった。ひっそりと、線香花火が落ちるときのように静かに布団の中で死んでいた。その日の夜に一緒にやろうと思って握りしめていた花火はいつの間にか湿気って使えなくなっていた。

「知っていますか」

人はあの夜空に輝く星なのです。そうおばあちゃんが言っていた。私はそれを二階で空を眺めていた時に見た。ちかっと空で一回だけ光って、流れ星はどこかに落ちていった。なんで落ちるんだろうね。これもおばあちゃんが言っていたことだけど、天国は空の上なはず。

「流れ星はね、星じゃないんですよ」

と私は母親が死んで泣いている子供にそう教えてあげた。祖母が死んだ時の私と同じく、二階から流れ星が落ちるのを見たといっていた。燃えながら空できらっとひかって、それから地球のどこかへ落ちていった人工衛星や彗星のかけら。

「宇宙のゴミなんですよ」

グーグルで調べたから、ほら見てみなさいと差し出したスマホは叩き落とされてヒビが入ったので私は困ったし、涙目で睨んでくる子供に弁償していただけますかと尋ねても沈黙が帰ってきた。

「……あ、ほら見て」

流れ星が流れましたよ、と言って夜空を指さす。だってさ、ね、きらきらと空を流れる星は、宇宙のゴミってことにしておきましょうよ。あんな綺麗なものから死を連想するよかいいと思いませんか。