怪獣たちのいるところ | ナノ




「ねぇ、お兄さん」

「ねぇ、危ないですよ。こんな所で寝てちゃ」

「おーい」
「……んぅ?」

体をゆさゆさと揺さぶられて目を醒ます。瞼を開けた途端にさんさんと輝く太陽が目を焼いて、思わず呻いて手で顔を覆う。すると慌てたように誰かが顔面に布をかけてくれた。親切だ。

「あの、大丈夫ですか?」
「あー……うん。大丈夫、平気」

手の平と布の影のなかで、何度か目を瞬かせて明るさに慣らす。もう大丈夫だろうと布を取って上半身を起こし、私を起こしてくれた人物に向かってそれを返して礼を言った。

「ありがとう」
「どういたしまして」

にこにこしながら布、ポケモンプリントのハンカチを自分のポケットにしまったどこかで見たことがある親切な少年は、それじゃあ僕もう行きますからとその場を去っていった。手持ちのポケモンを出しておかないと危ないですよとの台詞を残して、後ろに可愛らしいヒノアラシを連れながら。

「…………ポケモン?」

はて、と首を捻って空を見上げる。するとくるっぽー!と鳴いた鳩、じゃなくてポッポが私の頭上を2、3匹通り過ぎていくのが見えた。幻覚だろうか。


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