おれしょ改訂版 | ナノ

 10

「幸村さん寝てていいですよ」
「しかし」
「我慢しない方がいいですって。今布団しいてきますから」
「いえ。この場所で充分でござる。某はご覧の通り、健康体でありますゆえ」
「そうですか?」
「はい」

腹に血が集まれば誰でも眠くなる。疲れてるなら尚更だ。飯を食べ終わってちょっとうつらうつらし始めた幸村さんにじゃあそこでどうぞと言うと、彼もまた一秒もしないうちに寝た。俺の許可を待ってたのかそれとも既に限界だったのか、それはわからないけど素直に凄いと思う。

「…………パソコンで調べてみるかな」

ルーズリーフに書かれた違いに首を捻りながらパソコンをつける。ぶぉん、と青く光る画面にパスワードを打ち込んでロックを解除。かたかたと検索画面にキーワードを打ち込めばずらりと並ぶ情報、情報、情報。かちかちクリックして幸村さんが話してくれた『戦国時代』に類似する情報を探すも、これっぽっちも見つからなかった。少なくとも明智光秀は血狂いじゃないし豊臣秀吉もやっぱり小さな猿である。実は真田幸村は幸村じゃなくて信繁だったし伊達正宗が使う刀の数は1つ。6爪ってなんだよ、握力どうなってんだゴリラか。そっちの戦国時代にはゴリラしかいないのか。しかも猿飛佐助なんか創作上の人物とか言われてる。あーもう!全然わかんねぇ。

「出来事は同じなのになぁ……」

もしかしたらパラレルワールドとか、地球に良く似た世界とか、そういうファンタジーな彼らは来たんじゃないだろうか。せめてもうちょっと違うところがあれば、なんか魔法が使えるとかハイテクノロジーが存在してるとか。そうだったらSF小説によくある事として認識できるって言うか納得できるんだけど。

「…………」

起きたら聞くしかないか。ふぅと息を吐いて椅子から立ち上がる。風呂入って勉強しよう。なんだかんだで昨日はさっぱり授業の復習ができてなかったから、少しだけでも遅れを取り戻さなくては。



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