『前のノートが終わったので新調。先週、親戚のブリーダーさんから貰ったポケモンの卵が孵った。出てきたのはロコン。一本だけ生えてる白い尻尾が綺麗。この子が私の最初の手持ちになるんだって言って、お母さんが技マシンをくれた。にほんばれとシャドーボール。貰ったのはいいけど、いつ使えばいいかわかんないな。でもとっても嬉しい。私はあんまりバトルとか得意じゃないけど、この子とうまくやっていけたらいいなって、そう思う。』


どうやら、私の膝の上でぐーすか眠っているロコンは、卵から生まれたらしい。そりゃ犬のようになつくわけだ。ナツキは親だもんね。
生まれたばっかりのロコンの尻尾は一本で白いのだという新情報に驚きつつ、膝上のなめらかふかふかな毛並みをなでて、次のページをめくる。


『随分時間が空いちゃった。六ヶ月後には私もポケモントレーナー、今日トレーナーカードを作りに行ってきた。ロコンの尻尾は今四本で、お母さんは育つのが遅いわねって言ってる。ロコンは尻尾が六本にならないと駄目なんだって。私は遅いなんて思わないけどな、「こじんさ」ってやつだよ。お母さんだって前に私に何回も言ったよね。トレーナーズスクールの成績は気にしちゃダメよって、こじんさがあるんだからって。べつに私はきにしてないんだけどね。』


次のページに、特にこれと言った情報はなかった。ただ、ナツキはあんまり成績のいい子じゃなかったようだ。お母さんが言った『個人差』は多分お母さんが自分に納得させるために言った言葉なんだろうな。わぁ、教育ママっぽい。


一々感想をつけながら、そのあとも日記は続く。ロコンの成長記録だったり家族の愚痴だったり、美味しかったお菓子の事やトレーナーズスクールの事。私にとって二次元の存在だったポケモンの世界がどんどん平面から立体になっていくのが分かる。ナツキの日記は読んでてとても面白い。結構こう言うのって、読んでてわくわくするものなんだな。
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