2 「ほんとは聞きたかった」 *やっと愛あるエロ。 夢だな、と思った。 坂田が居心地悪そうに苦笑いしてた。 「待たせやがって」 思わず文句を言うと、待ってなくてよかったんだぜ、と寂しそうに答えた。 そんな顔させたかったわけじゃないよ、と言ってやったら、小さく頷いた。 「土方、俺ァ行くけど」 坂田は離れたところで俺に笑いかける。 「もう、大丈夫だから。おめーを邪魔する奴ァあらかた片づけたし、残りはおめーの仲間がやってくれる。おめーは真っ直ぐ歩いてけばいい」 「なにが?」 「好きな奴早く作って、幸せンなれ」 「なに言ってんだ?」 「俺はもう、十分。ありがとな」 駆け寄って坂田の手を握る。 冷たい。 あのとき、血だまりの中でやっと触れた坂田の手みたいに。 「離せ。ひじかた」 「どっか行っちまうつもりだろ」 「おめーは連れてけねぇのよ。離してくれ」 「嫌だ」 坂田の首にしがみついた。 困ったようなため息と一緒に、腰に大きな手が回った。 「やめろって。連れてきたくなっちまうだろーが」 「連れてけよ」 「ダメなんだって。ああもう、」 肩に埋めた顔を、後ろ髪を掴んで引き剥がされ、必死で抵抗してたら唇を乱暴に塞がれた。腰を引き寄せる手に力が篭もり、次第に熱を帯びてくる。 「知らねーぞ。時間切れになったら、おめーも道連れだ」 どこへ、と聞かなかった。 この男がいれば、どこでもいい。 「逢いたかった」 坂田の口から、聞いたことのない言葉が、 「ばか。もっと早く言え」 目頭が熱い。鼻の奥がジンジンする。 息が、苦しい。 坂田を好きでいられれば、それでよかったのに。 坂田が好き。 ただそれだけのはずだったのに。 ずっと聞きたかった。 さかたが、どうおもってるか。 「泣き顔もたまんねーな、おめーは」 頬を舐め取りながら坂田は笑う。 いつの間にか服はなく、坂田の素肌が俺の躯を包んでいた。 「さかたっ、たのむ、」 「ん?」 「酷くして」 ニヤリ、と坂田の唇が歪んだのが、見なくてもわかった。 ああ、坂田が酷く抱いてくれる。それだけで、興奮して、気持ちいい。 「土方くんの酷くしてって、俺の好きにしちゃっていいってこと?」 「……ッ、して、好きにっ、」 「あーあ、まだなんにもしてねえのに……ドロドロなんだけど。淫乱」 「あ、ぁ、はぅ」 「あれ、もしかして自分でシた? どこで?」 「んうぅ、おまえをっ、屯所にぃ……つれもどす、まえ」 「隊服で弄ったの?」 「そうっ、だ……ふぁ!?」 「へえ、耳弱いんだね。知らなかった」 「ひっ……、あ、ん」 「舐めちゃおっかなー」 「は、ぅあ……舐めて、」 「『舐めてください』だろ」 「あ、な、なめてくらはい……」 「まあいいや」 暖かい滑りが耳穴に侵入する。肩が竦むのをガッチリ抑えこまれて、耳たぶをキツく噛まれた。 飛び上がるほど痛いのに、それさえ気持ちいい。 耳の下に吸いつく唇も、胸に這い出す大きな手のひらも。 「んあ!?」 「銀さんさぁ、忙しいんだわ。土方くん痛いの好きじゃん? ヤラシイ乳首はこれで我慢な」 ほーら、見てみ。 言われて下を見ると、乳首を摘み上げられて、ピンチで挟まれるところだった。 「や……、ぃっ、あーーーッ!」 「どお?」 「いたいィ! いた、あっ、」 「ふーん。ちんぽビンビンだけどな」 「う、そ」 「片っぽだけ乳首大きくなったら恥ずかしいだろ? もう片っぽも挟んでやる」 「やだ! いや、」 「イヤ? 嘘つけ。『俺は痛くて勃起しちゃう変態です』って言ってみ」 「ちが、ちがう……」 「だから無理すんなって。ほら、」 「うアァァァ!? いたぁい……っ、」 「テメーのちんぽ触ってみろよ。すっげえことになってっから」 「ひっ……やだ、」 「俺にも見せろよ。土方くんのハズカシイとこ」 乱暴に足首を掴まれ、大きく脚を開かされて、 坂田に見られながら自分で触るのか。 冷ややかに見下ろすさかたの目は、逆らうことなんか少しも考えてない。 恐る恐る性器に手を伸ばす。 「そうそう。そうやってひとり遊びしてな。袋もちゃんと弄れよ」 さかたにしてほしいのに。 そのおっきな手で、ぐちゃぐちゃにしてほしい。 さかたは俺の奥を覗きこんだ。 突然、痛みを感じて思わず眉を顰めた。 「へえ。今度は浮気してないみたいだね」 「して、ない、」 「別によかったのに。好きだろ、男に突っ込まれんの」 「好きじゃ、ない……っ、」 「行きずりはどうかと思うわ俺も。けど、身元の確かな奴ならいいんじゃね? 近藤とか、あのハゲとか」 「……ッ、ぅ、」 「隊服プレイとかしてみたかったな、俺も。隊服青姦とか、いかにもってかんじでよくね? 路地裏で、下だけ下ろしてさ」 「あ……、はぁ」 「ほらほらローションねえんだからよ。もっとちんぽ汁垂らせよ。ギッチギチでヤりにくいわ」 「あ、んぁ……あーーッ!? そこ、」 「そーだよ。ヤラシイ土方くんが、もっと乱れちゃうポイント」 「アアァアァァアーーッ!? や、やだ、そこイヤァァァーーッ!?」 「オイ手。サボんなっつの。あーあハッズカシイなぁ脚おっぴろげてちんぽ擦ってよぉ。ケツマンコひくひくしてんぜ」 「やらァァァ!? あっ、あーーーッ」 「手伝ってやるよ」 「!? ヤーーーッ! ちくび、いたい! いたぁいぃ! はぅッ、あぁ……」 「イクときは言えよ?」 「あ、あ、ぁ、も、ダメ、イクッ」 「『十四郎のいやらしいちんぽから、白い恥ずかしい汁が出るとこ見ててください』は?」 「ん、う、あーーっ、は、と、とうしろ、の、やらし、ちんぽからぁっ、しろいのっ、はずかしいしりゅっでるの、見てくらはいーーっ!」 「いいぜ。イケよ」 「アーーーッ!! ぎん、ぎんときーーッ!」 「……さよなら、十四郎」 章一覧へ TOPへ |