「ほんとは聞きたかった」
やっと愛あるエロ。





 夢だな、と思った。

 坂田が居心地悪そうに苦笑いしてた。

「待たせやがって」

 思わず文句を言うと、待ってなくてよかったんだぜ、と寂しそうに答えた。
 そんな顔させたかったわけじゃないよ、と言ってやったら、小さく頷いた。

「土方、俺ァ行くけど」

 坂田は離れたところで俺に笑いかける。

「もう、大丈夫だから。おめーを邪魔する奴ァあらかた片づけたし、残りはおめーの仲間がやってくれる。おめーは真っ直ぐ歩いてけばいい」
「なにが?」
「好きな奴早く作って、幸せンなれ」
「なに言ってんだ?」
「俺はもう、十分。ありがとな」


 駆け寄って坂田の手を握る。
 冷たい。
 あのとき、血だまりの中でやっと触れた坂田の手みたいに。


「離せ。ひじかた」
「どっか行っちまうつもりだろ」
「おめーは連れてけねぇのよ。離してくれ」
「嫌だ」


 坂田の首にしがみついた。
 困ったようなため息と一緒に、腰に大きな手が回った。


「やめろって。連れてきたくなっちまうだろーが」
「連れてけよ」
「ダメなんだって。ああもう、」


 肩に埋めた顔を、後ろ髪を掴んで引き剥がされ、必死で抵抗してたら唇を乱暴に塞がれた。腰を引き寄せる手に力が篭もり、次第に熱を帯びてくる。


「知らねーぞ。時間切れになったら、おめーも道連れだ」

 どこへ、と聞かなかった。
 この男がいれば、どこでもいい。

「逢いたかった」

 坂田の口から、聞いたことのない言葉が、

「ばか。もっと早く言え」

 目頭が熱い。鼻の奥がジンジンする。
 息が、苦しい。
 坂田を好きでいられれば、それでよかったのに。
 坂田が好き。
 ただそれだけのはずだったのに。
 ずっと聞きたかった。

 さかたが、どうおもってるか。


「泣き顔もたまんねーな、おめーは」

 頬を舐め取りながら坂田は笑う。
 いつの間にか服はなく、坂田の素肌が俺の躯を包んでいた。

「さかたっ、たのむ、」
「ん?」
「酷くして」

 ニヤリ、と坂田の唇が歪んだのが、見なくてもわかった。
 ああ、坂田が酷く抱いてくれる。それだけで、興奮して、気持ちいい。

「土方くんの酷くしてって、俺の好きにしちゃっていいってこと?」
「……ッ、して、好きにっ、」
「あーあ、まだなんにもしてねえのに……ドロドロなんだけど。淫乱」
「あ、ぁ、はぅ」
「あれ、もしかして自分でシた? どこで?」
「んうぅ、おまえをっ、屯所にぃ……つれもどす、まえ」
「隊服で弄ったの?」
「そうっ、だ……ふぁ!?」
「へえ、耳弱いんだね。知らなかった」
「ひっ……、あ、ん」
「舐めちゃおっかなー」
「は、ぅあ……舐めて、」
「『舐めてください』だろ」
「あ、な、なめてくらはい……」
「まあいいや」

 暖かい滑りが耳穴に侵入する。肩が竦むのをガッチリ抑えこまれて、耳たぶをキツく噛まれた。
 飛び上がるほど痛いのに、それさえ気持ちいい。
 耳の下に吸いつく唇も、胸に這い出す大きな手のひらも。

「んあ!?」
「銀さんさぁ、忙しいんだわ。土方くん痛いの好きじゃん? ヤラシイ乳首はこれで我慢な」

 ほーら、見てみ。
 言われて下を見ると、乳首を摘み上げられて、ピンチで挟まれるところだった。

「や……、ぃっ、あーーーッ!」
「どお?」
「いたいィ! いた、あっ、」
「ふーん。ちんぽビンビンだけどな」
「う、そ」
「片っぽだけ乳首大きくなったら恥ずかしいだろ? もう片っぽも挟んでやる」
「やだ! いや、」
「イヤ? 嘘つけ。『俺は痛くて勃起しちゃう変態です』って言ってみ」
「ちが、ちがう……」
「だから無理すんなって。ほら、」
「うアァァァ!? いたぁい……っ、」
「テメーのちんぽ触ってみろよ。すっげえことになってっから」
「ひっ……やだ、」
「俺にも見せろよ。土方くんのハズカシイとこ」


 乱暴に足首を掴まれ、大きく脚を開かされて、
 坂田に見られながら自分で触るのか。
 冷ややかに見下ろすさかたの目は、逆らうことなんか少しも考えてない。

 恐る恐る性器に手を伸ばす。


「そうそう。そうやってひとり遊びしてな。袋もちゃんと弄れよ」

 さかたにしてほしいのに。
 そのおっきな手で、ぐちゃぐちゃにしてほしい。
 さかたは俺の奥を覗きこんだ。
 突然、痛みを感じて思わず眉を顰めた。

「へえ。今度は浮気してないみたいだね」
「して、ない、」
「別によかったのに。好きだろ、男に突っ込まれんの」
「好きじゃ、ない……っ、」
「行きずりはどうかと思うわ俺も。けど、身元の確かな奴ならいいんじゃね? 近藤とか、あのハゲとか」
「……ッ、ぅ、」
「隊服プレイとかしてみたかったな、俺も。隊服青姦とか、いかにもってかんじでよくね? 路地裏で、下だけ下ろしてさ」
「あ……、はぁ」
「ほらほらローションねえんだからよ。もっとちんぽ汁垂らせよ。ギッチギチでヤりにくいわ」
「あ、んぁ……あーーッ!? そこ、」
「そーだよ。ヤラシイ土方くんが、もっと乱れちゃうポイント」
「アアァアァァアーーッ!? や、やだ、そこイヤァァァーーッ!?」
「オイ手。サボんなっつの。あーあハッズカシイなぁ脚おっぴろげてちんぽ擦ってよぉ。ケツマンコひくひくしてんぜ」
「やらァァァ!? あっ、あーーーッ」
「手伝ってやるよ」
「!? ヤーーーッ! ちくび、いたい! いたぁいぃ! はぅッ、あぁ……」
「イクときは言えよ?」
「あ、あ、ぁ、も、ダメ、イクッ」
「『十四郎のいやらしいちんぽから、白い恥ずかしい汁が出るとこ見ててください』は?」
「ん、う、あーーっ、は、と、とうしろ、の、やらし、ちんぽからぁっ、しろいのっ、はずかしいしりゅっでるの、見てくらはいーーっ!」

「いいぜ。イケよ」

「アーーーッ!! ぎん、ぎんときーーッ!」




「……さよなら、十四郎」








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