4 体育を見学する 「まあ、がっかりすんなよククッ」 「するわボケェェ!! せっかく土方とおんなじチームになったのに……」 「バスケだろ。テメェが目論んでるうふふな展開はありっこねえ」 「あんだろ絶対! パス回しの練習してて『あっ悪い!』みたいなオイシイ展開あったはずなのにーー!! おめーのせいだ!」 「頼んでねェからな、テメェが勝手に下敷きになったんだろが」 「おまえな! 目の前で人が階段から転げ落ちてきたら誰でも咄嗟に庇うわ! 顔見て『あ、こいつやめとこ』とか考える余裕ないわ! あったらほっといたわ!!」 「そんで捻挫って、ドン臭いにも程があらァ」 「階段から落ちてくるヤツにドン臭いとか言われたくないからね。もうあっち行ってくんないかな高杉くん」 「なに言ってんだ、悪ィと思うから一緒に体育見学してやろうってのに」 「いらないからそういう親切! 最近土方の視線が冷たいし! おめーと一緒にされんの、銀さん心外!」 「つれねーなァ、幼稚園から身心ともに一体の仲じゃァねえか。俺ァな、テメェのあんなコトもこんなコトも全部知ってるんだぜ」 「やめてェェェ!! その思わせぶりな発言! たいしたこっちゃねーだろ、宿題忘れて廊下に立たされた回数とか居残りさせられた回数とかだろ」 「それだけじゃねぇさ。女にフられた回数とか『もう高杉でいい』とか言って泣きついてきた回数とか……」 「ハイ嘘ー! よし、逆さ吊りにして身長伸ばしてやる」 「テメェをフった女が翌日辰馬と歩いてたとか」 「いいんだよ過ぎた話は! 俺は土方くんと仲良くなりたいの! あんま俺にくっつくな」 「えー銀時ひどーい」 「それおまえが言うとものっそ凶悪な!」 「なんかイチャイチャしてやすぜ。まあ碌に会話も成り立たねえアンタより高杉のほうが、凶悪とはいえ楽しいでしょうねィ」 「うっせえ。授業中だぞ」 「ホントに単なる幼馴染みですか? あ、旦那に肩貸してらァ。トイレらしいや」 「……行けばいいだろ、トイレくらい」 「トイレと言やあ、片足でどうやって用足すんでしょうねィ。まさか高杉が……」 「んなわけねェだろ!? なに考えてんだテメーはァァァ……ぶはっ!?」 「せんせー土方くんがよそ見してて、ボールにぶつかりましたぁ」 「てんめー見えてただろ!? わざとだろォォォ!?」 「なに言ってんです俺はアンタと違って真面目に体育なんかしやせん。ボールに触りたくねえからしっかりボールは見てまさァ」 「やっぱ見てんじゃねーか……ぐは!?」 「俺は見てましたけど、見てないアンタに俺がタダで教えるとでも?」 「教えろやこのクソガキィィィ!」 「土方さん、後ろ」 「うごぉぉぉ!?」 「せんせー、土方くんが三連発でボールに頭ぶつけて再起不能になりやしたー」 「しょうがねえな、誰か保健室連れてってやれ」 「高杉ィィィ!?」 「なんだうるせーな」 「土方がいないんだけどォォォ!?」 「知るか。トイレじゃねーか」 「だって今俺たちが居ただろ!! あいつ来てないしすれ違ってもいないじゃん!? どーゆうことだ30字以内で説明しろ」 「テメェがいないうちに何処かへ行った」 「足りねーだろーが何もかも!? もういい、沖田くーん!」 「旦那、俺ァまったり授業中なんで手短かに頼んますぜ」 「さっきから全くゲームに参加してねーくせに! 土方くんはどこ!?」 「教えてほしかったら来年の夏休みの課題と今年の冬休みの課題と取り引きでさァ。どうせ土方の写すんだろィ。俺の分も写しといてくだせえ」 「残念だったなァ沖田。銀時は毎年恒例、俺のノート写すことになってんだ」 「ああ、小さいんで目に入んなかった。居たのか高杉……残念ながら旦那はもう土方さんにノート申し込み済みだから」 「冬休みの分だけだろうが。情報は正確にな、ククク」 「俺ァ課題が終わればいいんで、ソースが何だって構やしねえんですが旦那」 「やってやるから! 早く言えよォォォ!? ……保健室!? なんでェェェ!? 脳震盪!? ちょ、せんせー! 足痛いんで保健室行って来まーす!」 「おぅ、じゃ高杉ぃ、坂田連れてってやれーぃ」 「!」 「クククッ、行くぞ銀時」 前へ/次へ 目次TOPへ |