再びため息


 土方にケータイ持たされた。
 事務所の電話だと新八や神楽も出るから使いにくいんだそうだ。別にいいのに。あいつら知ってるから、俺たちつき合い始めたの。若干呆れてるけど、理解はあるから。
 持たされてわかったのだが、土方は短いメッセージをよく送ってくる。遅れる、とか行けなくなった、とか。こういう使い方するなら俺がケータイ持ってたほうが都合がいいだろう。納得して、専ら土方からの伝言を受けたり返信したりしている。
 そのおかげで、土方がウチに来る途中で買い物してきてくれるようになった。これから屯所出るけど何か要るものあるか、って聞いてくれるんで、こちらもつい頼んでしまう。

「パトカー乗り付けんのやめてくんない、でもパトカーで来るなら米買ってきて、と」

 今日も『今から向かう』とメッセージが来たので返信してやった。この前来たときジミーに送られてパトカー横付けしやがって、ババアに『アンタ何やらかしたんだい』って説教食らったんだよ。面倒くさい。
 でも、今日は屯所から歩きで来るんだそうで米は諦める。どうしてもって訳じゃない。土方が消費する米なんて微々たるものだ。むしろ神楽が恒道館に泊まりに行ってるから少なくて済むくらい。

「……っていう軽いオネガイだったんだけど。うん、悪かった」
「おまえはっ悪くな……っ、たのま、れたのにっ買ってこなかっ、おれ、あんッ」
「頼んだっつか、うん。出来れば、くれえのね――それよりソレしまいなさい」
「ああっ」

 来るなり土方くんは厠に駆け込んだ。その時点で嫌な予感はしたんだよ。妙に長いし出てきたら頬が赤らんで目は潤んでるし。
 今日も俺がソファに座ってんのに土方は肘掛の横、床に座り込んでいる。今日は正座じゃなく、でも胡座でもなく、

「とりあえず脚閉じろ。パンツ履け」
「あし、とじたら、ひゃんっ」
「うーん……抜けよソレ」
「ぎ、ぎんときが、ぬいて」

 M字開脚で、アソコにはウィンウィン蠢くオモチャが。とうとう自分でセットしちゃったらしい。やれやれ。

「悪かった、からぁんっ、お、おしおき、」
「だからさ。俺のためにやってんだよね? 俺がソレやめろっつってんだからやめろよ」
「いやだ」
「うーん……」

 ソファから立ち上がると土方の目が輝いた。期待に満ち溢れてじっと俺を見つめる。イヤ重い。めっちゃ重い。俺の気も重い。
 土方の背を抱き寄せて蠢く異物に手を伸ばしたら、ゴクリと喉が鳴るのが聞こえた。外すだけだって言ったらあからさまにがっくり肩が落ちた。ほんと困る。期待値高過ぎる。何を期待したの。俺にどうしろと。

 いちばん困るのは、こんな変態ちゃんなのに放り出せないほど惚れちまってる自分自身なんだけれども。

 こういうのはしなくていい、と宣言すると、腕の中から上目遣いに睨んできた。不服か。そうですか。俺も不服なんですけど。
 まずはお仕置きの定義から擦り合わせる必要がある。俺はまたもやため息を吐く羽目になったのだった。




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