8 一緒に帰る 「銀時、今日はどこ寄るよ」 「あのな高杉。いい加減現実を見ろ、俺はお前とつき合う気はないから。土方一筋だから」 「ひどいぞ銀時! 高杉とのことは遊びだったのか!? アレだ……酷いぞ!!」 「うるせーロン毛テメーは引っ込んでろ! 遊びにしかつき合ってねえから! 遊び違いだから!」 「晋助様の仇ッス! えい」 「ちょっ、痛いいたい、地味に痛い! 輪ゴム弾くなって」 「お前が晋助様を誑かしたッスね、この銀魂高校の紅い弾丸が許さないッス! えい」 「弾丸って輪ゴム!? ショボくね!?」 「晋助様アァァ! ショボくないッスよね!? ショボくないッスこの銀髪もじゃもじゃ! えい」 「ちょ、髪の毛狙うな輪ゴム引っかかる! 取りにくいんだよ輪ゴムって! ああもう、なんなのこの子!? イラッとさせることに関しては認めるよ、凄いデスネ!?」 「晋助を泣かせたら拙者のギターが火を吹くでござるからな!」 「お前のギターどんな仕様!? 漏電してんじゃねーの、直したほうがいんじゃねーの!? 大丈夫なの!?」 「おんしら、仕方なかよ。金時は昔からヤリ○ンでの、目が合っただけで妊娠すると言われて女子から恐れられ……」 「テメーなに適当な武勇伝作ってんだ!? 違うからね、全然違うからね! ちょ、来島目ェ逸らさないで!? 嘘だからね!?」 「見ろ銀時、時勢は俺に味方している」 「オイィィィ!? カッコいいこと言ってるけど辰馬以外全部オメーのファンだから。ファンてよりおめーのことLOVEな人たちだから。愛されてるね、よかったね!時勢とかじゃないよコレ人徳だろ! 失礼なこと言うんじゃねーよ低杉!」 「それは違うんじゃねーのか? テメェのだらしなさを指摘してるだけだろコイツらは」 「よーしじゃあ聞いてみよう、聞いて驚け鈍感男! 高杉を愛しちゃってる人手ェ上げろ!」 「俺は愛しているぞ!」 「……」 「……」 「ひとりオカシなのがいるだけじゃねえか、バカ銀時」 「待て待て待て!? 嘘だろその二人!? いいのか言わなくて!?」 「アタシは晋助様の幸せがいちばんッス……ぐすっ」 「拙者は晋助の意志を重んじるでござるよ。今は時期尚早」 「高杉くーん。モテモテじゃねーの。ちょっとさぁ、頼むから俺の恋路の邪魔はしないでくんない? そんでこの方たちと話し合いなさい! 以上!」 「銀時ッ!」 「晋助様可哀想ッス! また子が代わりにおつき合いするッス、ふぁ……」 「また子殿、抜け駆けは許さんでござるよ。晋助、あんな白モジャは放っておいて拙者とつき合わぬか、カラオ……」 「貴様ら何を抜かすか! 高杉は銀時を愛しているのだ、貴様らなどとはつき合わぬ! 高杉はそんな尻軽じゃないぞ。なあ高杉お前からも何か言ってやれ、ほれメソメソしている暇などないぞ」 「……テメェら全員ぶっ壊してやる!」 ダッ、 「晋助様!」 「晋助!」 「高杉!」 「あっはっは、酷すぎじゃおんしら」 「土方アァァ! 遅れてごめん、一緒に帰ろう!」 「旦那ですかィ。土方さんなら涙目で帰りやした」 「えっなんで!? 俺またなんかした? つかこないだのも何したかわかってないんだけど」 「こないだは知りやせんが、今回はなんでも『教えたメアドを使ってくれない』って文句言ってたと思ったら、さっき下駄箱の前で旦那がたが騒いでんの見てダッシュで帰りやした」 「え……?」 「誤解したんじゃありやせんか。あの人恋愛音痴ですからねィ」 「え、まって、土方くんがくれたメモって、土方くんのアドレスだったの!?」 「誰のだと思ったんです」 「おめーのだろ」 「あれ旦那も鈍いや。あはは」 「だってこれ! 土方のメアドじゃねーだろ!?」 okitadoes@×××××.ne.jp 「どうしてです?」 「沖田ダズだし。え、もしかしてコレ遠回しのお断り? 沖田に言えみたいな!?」 「違いまさァ気色悪ィ。土方さんは未だにローマ字が精一杯なんでさァ。それは『沖田ドエス』のつもりなんでしょうが、バカですからメールするたんびに俺がなんかしたってアピールすることになるってわけで」 「……こないだのマヨラーオエはおめーのかクソったれ」 「ちゃんと書いたでしょう、『俺の送ります』って」 「オイィィィ!? オメーのアドレスなんか知ってもしょうがねえんだよオォォ!? なんてコトしてくれてんだ、じゃあお見舞いメールも届いてねえじゃねーかアァァァ!?」 「『頭狂ってる?』でしたっけ?」 「ちがアァァァう!」 「あ、おかえりなせぇ土方さん」 「えっ!? 帰ったんじゃなかったの!?」 「便所行くからその間アンタ待っててくれって頼まれたんでさァ」 「え? 帰ったって……え?」 「……やっぱり揶揄かっただけだったんだなテメー許さねえェェェ! 二度と俺に近寄るなアァァァ!」 ダッ、 「ちょっと!? えええええ!? ちょ、えええええええ!?」 「しょうがねえ。旦那、一緒に帰りやしょう」 「ええええええええ!?」 前へ/次へ 目次TOPへ |