虐める


 土方は俺の股に顔を埋めて、夢中になって陰茎をしゃぶっている。んん、と艶めいた呻きが漏れ、淫靡な水音をわざと立てる。俺はソファに座って、それを見下ろしている。
 土方は気に入られているかどうか窺うように、ときどき目をあげて俺を見る。それから反応がないことに不安になった様子で、更に深く銜え直す。

 最初に素っ裸に剥いてやった。それから首輪をつけてやり、コックリングで快楽の元を締め付けた。だから土方はどんなに感じ入っても放出することはできない。ついでに尻の穴には細身のバイブを入れた。刺激にはなるが決定打にはならない程度の。
 
 顔に出さないようにしているが、なかなかイイ。特に教えた訳でもないのに、なにやら懸命に技巧を凝らしてくるのが微笑ましい。どこで覚えてきたのやら。大方沖田に借りたAVでも見てるんだろう。どうも芝居くさいのが難点だが、俺を悦ばせようとしているようだから勘弁してやろう。

「もう、それいいわ」

 首輪についた鎖を引くと、土方は息が詰まったのか喉奥をきゅっと締めた。一気に射精感が襲ってきて、俺は遠慮なく土方の喉に欲を放った。予想外の出来事に土方は激しく噎せた。

「零すんじゃねえぞ」

 やめろっつっただろ。やめねえテメーが悪いんだから全部飲め。
 そう命じると、涙を溜めながら必死で飲み下だそうとする。だが、噎せて吐き出してしまった。

「オイオイなにやってんの」
「え''っ、ごほっ、ご、ごめんなさ……」
「お仕置きだろ、当然」

 土方の頬が紅潮する。仕草だけは首を横に振り、嫌がっているように見せるが悦んでいるのを俺は知っている。
 さあ、どうすんの。殊更冷たく促すと、びくびくと痙攣した。どうやら出さずに達してしまったらしい。うっとりした顔でゆっくり後ろを向き、テーブルに手を付いて尻を高く上げて見せた。

「恥ずかしくねえの? こんなとこおっぴろげてさあ」
「はず、かしい……」
「恥ずかしいことすんの大好きだもんな。淫乱」
「あっ、んぁ、違うっ」
「なーに言ってんの。キモチイイくせに」

 バイブを掴んで無造作に掻き回してやると、声にならない悲鳴を上げて土方はのけぞった。腕の力なんか入らないだろう。テーブルにしがみついて、それでも尻だけは必死で上げようとする。刺激を求めて腰を揺するのがいやらしい。

「土方さ、最近ココ緩んできたんじゃねーの」
「……ッ、ぁ、ァ……っ」
「拳入るかなぁ」
「! 無理だッ、あっ……!」
「入るって。試してみようぜ」

 土方を引きずって風呂場に移動する。もちろん、歩かせてなんてやらない。四つん這いが当たり前。なにしろ俺が鎖を引いてるんだから。
 風呂場に蹴飛ばすと、また躯をビクビク震わせた。イッてしまったようだ。明るいところでじっくり観察すると、躯が火照ってピンク色に染まり、中でも尻の穴はぼってり膨れていた。

「なにこれ。ここ、」
「んあ! あっ、」
「キモチイの? ケツマンコ」
「ひっ、ああ……、」
「ヒクヒクしてんの。やらしい」
「……! んっ」
「コレ入るだろ。なーんでも」
「やっ、入んない……!」

 乱暴に玩具を抜いた。追いかけるように、襞がパクパクと開いたり閉じたりした。そこに指をいきなり三本突っ込む。

「あっ! 痛……」
「好きなくせに。どうしても我慢できなくなったらローション足してやる」
「やっ、ガマンできな……、」
「できるって。おら」

 抜き差しすると、土方は嫌がる素振りを見せた。本気で痛いらしい。だが止めてやるわけがない。
 仰向けに転がるよう命じて、足首と手首を左右それぞれ纏めて縛った。右を蛇口に、左をドアノブに引っ掛ければ開脚の出来上がり。自分で脚を閉じることももちろん、逃げ出すこともできない。恥ずかしい部分を隠すことも。
 不安そうに見上げて来るのが堪らなくイイ。俺は服を脱ぐことにした。

「勘違いすんなよ。抱かねえから」
「ぇ……、」
「期待した?」
「……ッ」

 震えながら小さく頷くのが可愛らしい。あの憎たらしい鬼副長とは思えない。
 騒がれても興醒めなので土方の股にたっぷりローションを垂らしてやった。媚薬入りだからますます躯が火照って仕方がないだろう。案の定、土方は不自由な躯で腰をくねらせる。
 もう一度、指を三本突っ込んでやると今度は熱い息を吐いた。抜き差しするとたちまち胎内は熱く解れ、俺の指をきゅうきゅう締め付けた。

「キモチイのか?」
「んあっ、きもち、い、です……っ」
「どこが?」
「あ、とうしろ、の……、おしりっ、のナカ」
「何がキモチイイんだよ」
「う、ぁ、んんっ……ぎんときっ、の……ゆびっ、かきまぜ、られるっからぁ」
「淫乱」

 四本目をゆっくり埋めた。咄嗟に土方は膝を閉じようとした。はっはっと呼吸が短く浅くなり、それから顔を歪めて奥歯を噛み締めた。
 縦に四本はキツイか。一度抜いてから、手のひらを少し丸めてもう一度四本突き入れる。

「ぅ、あああっ! 痛い、いたい! むり……あっ、」
「大丈夫だって。入ってるもの」
「いたい……っ、痛い、からぁ……も、やめて、」
「もうギブアップかよ。いいぜ、さっさと寝ようか」
「……! あーーッ、」
「頑張れよ。力抜いてろよ?」
「! ヤーーーッ!? ああぁぁ……、ぎんときぃ、ぎんときーーッ!?」

 親指を添えて、ゆっくり拳を埋めていくと、土方の尻の穴はぱっくり拡がって全部の指が見えなくなった。土方の全身が痙攣している。不自然に掲げられた両足の内側が縮こまる。縛められた手足に筋が浮く。
 なんて綺麗なんだろう。

「はぁっ、はあ、も、たのむ、もイヤ、ね、ぎんと、きィィィッ!?」
「キモチイイだろ」
「いたい、いたぁい……もっ、むり」
「じゃあ特別にコレ、外してやるよ」
「ヒィィィ!? あっ、やァァ!? ぎん、ぎんときーーっ!」

 コックリングを勢いよく引き抜いてやったら、一気に精液が溢れてきた。それも勢いよくじゃなく、じょろじょろと漏らすように。
 土方の唇が悲鳴の形に開いたけど、声は出なかった。瞼を閉じることも忘れたみたいに、ほとんど白目を剥いて、土方はイき続けた。尻の穴がぎゅうぎゅう締まる。拳を軽く揺すってやると、狂ったように首を左右に振って泣き出した。
 無意識になにか訴えている。その唇に耳を近づけてみると、


「ぎん、ときの、が、いい……ぎんとき、のが、いい……」


 拳を抜いてやった。悲鳴が上がったが気にしない。誰も今の甘い声が真選組副長のだなんて思いつきもしないだろうから。
 肛門の内側が捲れて、襞が幾重にも重なっているのが丸見えだ。そこに俺の陰茎を突き立ててやると、我慢できなくなったのか大声で喘ぎ始めた。いやらしい格好で縛められたまま、腰を振って、俺に擦り付けるように。土方の性器を握ると泣き叫んで射精した。それで、そろそろ終わりにするべく俺も土方の奥深くに精液を叩き込んだ。




 手足を解いてやろうと躯に触れたら、吐息のような喘ぎが漏れた。

「勘弁してくれよ、もう思いつかねえよ」

 今日も俺の負けらしい。土方は弱々しく、それでも艶めかしく笑った。

「ドSっつうから期待したのに……」
「こんな淫乱だとは思いもしなかったぜ」
「ヘタレ」
「少し黙れ。このまんま放置すっぞ」
「放置プレイは嫌いだって言っただろ」
「あーもう、我儘すぎ! 続きは布団な」
「ほんとか!?」




 土方だって男だ。そんなことはわかってる。だから溜まるだろうし、さりとてプライバシーがあまり守られない屯所で処理するのは難しいんだろうとは思う。
 だが、ぎりぎりまで溜め込んで俺のところに駆け込んでくるまではいいが、虐めろと強要するのは如何なものか。
 虐め倒すのは通常装備ではないのだ、こちらとしては。要するに、レパートリーは豊富じゃない。俺も大好きな子は普通に、大事に抱きたいんだ。いくらSだからって。


「あんま溜める前に来てくんないかなぁ……」


 俺の溜め息なんぞ聞いちゃいない。布団に運ぶまで腕の中でウトウトするのだろう黒髪の恋人を満足させるべく、次は何をするかなぁなんて贅沢な悩みに頭を抱える、夜。





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なんだお前かよ!






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