酷い男


※二人とも、女の人との絡みあり。









「こないだよぉ、ひっさしぶりに女抱きにいってよ」

 銀髪の男は俺を組み敷きながら世間話をするのが好きだ。話題はいつもこの男から振ってくるから、俺は聞かざるを得ないんだ。

 聞きたくない。
 お前が女を抱いた話なんて聞きたいはずがないだろう、坂田。

「そんで聞いたんだけど、男でも潮って吹けるらしいぜ」

 そうかよ。
 女に教わったその手管を、お前は俺に試すってわけか。
 お前もその女にしてもらったのか。

「俺は無理だったけどー。イった後すぐ亀頭擦んの。めっちゃ早く。途中でちんこ痛くなっちゃってさぁ、やめちまったけど」

 してみたいなら俺がするのに。
 お前を女に触れさせるほうが、ずっと嫌なのに。

「やってみていーい? 土方くん」

 俺に拒否権はないだろう。
 嫌がったらお前は、じゃあやめよっか?と言って二度と触れてはくれないだろう。


 セックスが濃厚過ぎてすぐ女に逃げられるとボヤいていたから、じゃあ俺を試してみないか、と言った。
 初めは驚いてたようだったが、すぐに俺を下から舐めるようにじっくり見た。品定めする目付き。そしてニタリと笑った。

「いいけど、俺ァ男は専門外だから。いろいろシてみちゃうけど、いい?」

 俺ははっきり頷いた。
 この男に触れられる。最も個人的な部分を晒して、身体の奥まで預ける。それがどれほど危険なことだとわかっていても、もう俺は坂田に触れないではいられないところまで追い詰められていたんだ。


「今日はイくの、我慢な」

 坂田は性質の悪い笑みを浮かべて、素早く俺のズボンと下着を脚から抜き去った。まだ上は乱されてすらいない。なのに下半身は坂田の目の前で有り得ないほど近くに晒して、隠そうにもがっちり坂田が太腿を抱え上げているから叶わない。
 陰茎と陰嚢を一括りにされた。それから後ろに続く紐状のものが尻穴にまで回って来たとき、胎内にバイブが埋め込まれた。それが抜けないようにベルトがおさえ、前から回ってきたベルトとつなぎ合わされる。
 射精のコントロールをさせたいくせに、バイブは早速射精を促す。

「女の躰ってやーらけえし、ちっさいから抱き心地サイコーだよな」

 そのまま抱いてもらえるものだと思っていたのに、坂田は俺に立つように命じた。そして自分はソファに座って、ゆるゆると俺の物を弄る。

「お姫様抱っことかもラクラクできるし。おっぱい当たるとテンション上がるじゃん」

 そんなこといいから、早くイきたい。
 隊服の上着とワイシャツは自分で捲っておかないと坂田はシてくれないから、必死で裾を握ってるのに。

「なあ、オメーも女抱くことあんだろ? どうやんの?」
「はっ……、どうって」
「最初はキスすんの? 服は脱がしてやんの。風呂とか一緒に入んの?」

 もう忘れた。
 お前に抱かれるようになってから女と肌を合わせていない。だいたい女を抱くときだって、俺はお前に抱かれることを考えてた。

「ほら、答えろよ」
「アアッ、痛……!」
「ちんこ勃ったぜ。ヘンタイ」

 意地悪く先端に爪を立てられて、射精感が一気に高まる。でも、出せないなんて、

「聞いてんの。女とどうヤんのって」
「どうも、こうもっ……あっ、変わった、こと、なんて、んあっ、してね......」
「ふーん、そういうこと言っちゃう? 俺が普通じゃねえって言いたいわけ?」
「アッ、ち、違う!」

 バイブの振動が強くなる。もうダメだ、膝が言うことを聞かない。腰もガタガタ震えて、立ってられない、

「しっかり立てよ。甘ったれんじゃねえ」
「はっ、はあっ、あぁ……たのむっイかせて、くれ」
「は? なに言ってんの。まだまだなんだけど」

 俺のを弄る坂田の手がきつく、早くなる。
 坂田が俺のを弄ってる、坂田が俺を見てる、

「普通って、どんなの。言えよ」
「あ、うぁ、イきた……ッ、イかせて」
「ちゃんと言ったらイかせてやる」

 どうして。
 坂田に触れられるのが幸せなのに。
 他の女に触れたときのことを思い出さなきゃいけないんだ。
 坂田がいいのに。さかた。

「へ、やに、はいっ…たら、キス、して」
「どんな?」
「した、いれる、やつ……はぁっ」
「抱きしめたりすんの?」
「……する、」
「で? シャワーはヤる前派? 後派?」
「ま、え……ッ」
「一緒に入んの。洗いっことかすんの?」
「しな……、あ、あ、イきそ…!」
「勝手にイくんじゃねえよ、天国見せてやろうとしてんだから。お預けな」
「うあ!? や、やめないで」
「いいから続き。どっちが先に入んの。土方くん?」
「そう、だ……! たのむっ、もう」
「うわあ、腰揺れてるけど。恥ずかしいなァコレ。いい眺めだわ」
「んん、はぁっ」
「おっと触んなよ。今日は銀さんがたっぷり可愛がってやんだからよ」
「ァーーッ……!!」
「ちゃんと立てって。ケツ引っ叩くぞ」
「ーーッ、ひ、ィィィ!?」
「で? ちゃっちゃと喋れよ。ベッドで待ってんだ。煙草吸って。女が出てきたらどうすんの?」
「き、す、して、むね、さわって」
「乳首は? 舐めてあげないの」
「なめるっ! なめるぅ」
「おいおい、質問しないと答えないんじゃあ面倒くせえんだけど。どーやって胸揉むんだよ。女ヨがってた? アソコとかどうすんの」
「むね、もんで、ちくびなめて……っ、ゆ、びでっ、イかせてからッ、はぁ、あぅ! いれ、る……」
「口でしてあげないの」
「しなッ……もう、やめてくれ、」
「しゃぶらせたりすんの」
「しないッ! しないからぁ、」
「どんな体位がお好み?」
「ふつうの、やつ……」
「女には? なんて呼ばせるの」
「すきにッさせて……あーーーッ!!!?」
「約束だからな。イかせてやるよ」

 じゅるじゅるっと音を立てて坂田は俺の物をいきなり吸い上げた。
 目の前がチカチカする。天地がどっちだかわからなくなって、坂田の肩に手を突いた。
 立ってないと、叱られる。

「出さないでイっちまったな、土方くん」

 坂田は愉快そうに笑って、イったばかりの俺の亀頭を激しく擦るのだ。
 嫌だ。痛い。いたい。おかしくなりそうだ。

「イヤだーーッ、もうヤだァァァ!! 離せっ、はなしてェェェ!?」
「特別に銀さんの肩貸してやるから、しっかり立ってろよ」
「イーーーッ、アァァァアァァ!! やら、やらやらァァア! 死ぬーーッ」
「逃げんなって。腰突き出せ」
「も、やあぁぁぁあぁ!! や、やアァぁあァアァア!?」
「天国逝くんだからよ。辛えのは我慢しろ」
「ヒィィィイィァァアァァァ!?」
「出していいぜ」

 縛められていた根元が楽になった途端、足の先から頭の上まで電流が走ったようになって、躰がガクガク痙攣して、
 とまらない、とまらないおれの、

「出たねぇ土方くん。男の潮吹き」

 坂田の声が遠くに聞こえて、後はよくわからなくなった。






「十四郎なんて呼ばせてたら抱き潰すぞ……ああ、虐められたいってか。しゃーねえな」







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