君を想う。


『目がショボショボするアルー』
『目薬買ってやっただろうが。あと顔洗え、目も』
『お仕事の後はちゃんと服はたいて入ってきてくださいって言ったでしょう、もう!』
『はたいたっつーの! 薬効かねえのか? 変えねえとダメか……』
『もういいよ何やったって目はショボつくし鼻は詰まるし、俺ァもうどうでもいいよとりあえず寝るわ』
『テメェはも少しシャキッとしろ寝過ぎだろ!? あと髪の毛なんとかしろ!』
『ねえ、なんか空気清浄機止まったヨ』
『フィルターの掃除してねえだろ! 掃除すりゃまた動くから、』
『誰が掃除すんの。それ黄色いアイツの巣窟だよね、そこにここんちのアレ全部集まってんだよね? そんなモン俺触りたくねえんだけど』
『僕もです』
『私もネ』
『わん』
『お前は関係ねえだろ!? 俺がやんのかよ!?』


 ずっと変わらず季節は巡るんだと思ってた。また同じ会話をするんだと、信じて疑ったこともなかった。
 今年はみんなどこでどうしてるんだろう。どこにいても、やっぱり目はショボついてクシャミが止まらなくて、鼻は詰まるんだろうか。ああ、地球の外に行けば大丈夫なのかな。
 クシャミするたびに、あのくだらなくて愛おしい時間を思い出してくれるといい。
 そう思うと、黄色いアイツが少しだけ好きになった。

「はーーっくしょん!」



『だから薬は早めに飲めって、去年も言っただろう! なんで言うこと聞かねえんだよ』
『お前が買い出し行けば問題ないネ』
『そうそう、俺たちはここでじっとしてるから。あ、そろそろ米がなくなるわ、あといちご牛乳』
『あと酢昆布』
『あとお通ちゃんの新作PV見たいです』
『〜〜〜ッ、テメェらいい加減にしろよ!? ――いつまでも俺が面倒見られるとは限んねえんだからな!』
『ハイハイ』
『わかってますぅ』
『そうだねー』


 今年からは自分で薬買わなきゃ。





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