湯けむり珍紀行!


「怪我する場面じゃないんだよいつもなら。疲れてんの、トシは」

 近藤さんは力説する。少し、怒ってる。反省してるから屯所でぶらぶらさせてくれって言っても許してくれない。

「大した相手じゃなかったし、偶然刀振ったらたまたまトシがいたってことだろ。いつもなら簡単に避けるだろ」

 その通り。気が抜けてたっていうか、こんな剣捌きじゃ大して斬れやしねえからもういいや、死ぬわけでもなし、と思って避けるのも面倒くさかった。

「屯所にいたら仕事するだろ。ダメ。療養を兼ねてしばらく休暇!」
「剣も振れねえのに?」

 大した傷じゃなかった。が、場所が悪かった。手を引っ込めたときは遅くて、右手の筋を傷めてしまった。これでは剣が満足に振れない。

「屯所にいたほうが安全……」
「ダメ。もう万事屋に依頼した」
「げっ」
「あいつも仕事ならちゃんとやるよ。あんまケンカすんなよ」
「それくらいなら屯所にいる!」
「ダメったらダメ。万事屋なら副長の護衛に問題ありませんッ。以上」

 こうして俺は屯所を追い出された。万事屋のバカと二人きりで。


「せめてメガネとチャイナ連れてくりゃあいいのに……」
「おいテメー万事屋ナメんなよ。たまには仕事くんだからな」
「滅多に来ねえくせに」
「あるんだなこれが。犬の散歩が」

 万事屋は胸を張った。

「あ、定春じゃねえぞ。仕事だからな」
「じゃあ一人だけ残せばいいだろ」
「不公平。帰ったら戦争が勃発すんぞ、何言ってんの」
「テメェだけでも充分不公平だろうが!」
「面倒くせえってよ。土方さんと一週間も一緒にいたら、息が詰まりますぅってさ」
「……」

 俺の部下じゃないから文句も言えないが、それをそのまま俺に伝えるってどうなんだ。無神経だろ。
 だがよくよく聞いみると、近藤さんがポケットマネーで雇っていて宿泊先でチャイナに大飯食らわれるとさすがに不安だったらしい。それなら仕方ない。チャイナだけに留守番させるのは確かに危険そうだ、いろんな意味で。
 そういう訳で、俺は不本意にも万事屋と二人で、とある温泉街の宿にいる。斬られたわけじゃなく、筋を傷めただけだから湯に浸かるのは構わないと医者に言われた。

「こんなの、ただ挫いただけなのに」
「そんなのは大したこっちゃねえだろうけど、全体的に疲れ果ててんじゃねえのお前」

 万事屋は憐れむように俺を見下ろしてニヤリと笑った。

「だってお前、昨日風呂入ったらぐうぐう寝ちまって晩飯にも起きてこなかったじゃん。有難く全部食ったけど」
「……」
「朝飯だって半分寝てたぞ? どうせ昼寝すんだろ。楽でいいわ。寝ろ寝ろ」
「……」

 確かに眠い。仕事を離れた途端に眠気が襲ってきて、ここに来るまで電車の中でも爆睡してた。按摩でも呼んでやろうか、と万事屋にからかわれるほど体が重い。

「体が鈍る」
「じゃあどうすんだよ。稽古でもする? 俺が見てやろうか」
「なんで上から目線!?」
「俺のが強いから」

 一回勝ったくれえでいい気になんなよクソ天パ! チクショーーーッ!
 でもやっぱり眠気に勝てず、クソ天パの言葉に従う悔しさに歯ぎしりしながら昼寝した。夢も見なかった。
 さすがにまる一日寝て過ごしたおかげで、夜には目が覚めた。万事屋が飯だと言う。どうせ部屋に運んでくんだろ。ああ、怠惰になっていけない。

「怠けちまえよ。せっかくの休みなんだからよ」

 マジムカつく。テメェみてえに怠惰な生活に慣れてねえんだよ俺は。罪悪感ハンパない。
 飯の時間になったら嫌なことが発覚した。

「ああ、箸持てねえのな。右手やられっと不便だよなー」
「……」
「スプーンもらう? フォーク? ぷーっくくく」
「……ッ、いらねえ! 箸使う!」
「あっそ。頑張ってー」

 全然頑張れない。汁物ばっかり啜る羽目になる。万事屋は素知らぬ顔で、パクパク刺身なんか摘んで食ってる。腹立つ。

「ほれ。口開けろ」

 不意に口元に、刺身が差し出された。

「美味いから。食ってみ」
「……」
「何にも食ってねえじゃん。汁啜ったって腹一杯になんねえだろ。ほら早く」
「……」

 ほんと腹立つ。ムカつく。けど、腹は減る。仕方なく口を開けると、すかさず万事屋はその隙間に刺身を突っ込んできた。

「ちょ、これテメェの食いかけじゃねえか!?」
「美味いってことを確認してから食わしてやってんだ。有難く思え」
「全然有難くねえんだけど!?」

 半分こ、とか言ってるけどそれ半分こじゃない。どんだけ貧しい生活してんだこいつら。ひと切れを分け合わなきゃならねえのか。不憫な。

「齧りかけ食わしてるわけじゃねえだろ! 箸で半分こしてんだからいいだろ、神経質だなー」
「だ、か、ら! 二人分皿があんだから! 皿ごと分ければいいだろ!?」
「皿ごと半分にしてんじゃんかよ。文句多いな多串くん」

 久しぶりにその名前聞いたよ!? つうか文句多いの多串じゃねえだろ、前から聞こうと思ってたけど誰だよ多串くんて。やっぱ聞かねえ。どうでもいい。

「風呂。入ってくるからテメェはここにいろ」
「一応護衛だし。風呂って武器も持たねえからアブね……って多串くんはここではいつも丸腰でしたねーこりゃ失礼」
「風呂に沈め! 浮かんでくるな永久に!」
「嫌ですぅ。風呂で遊んだらいけないんですぅ」

 ムカつく天パは風呂までついてきた。俺の横で堂々と服を脱ぐ。いいカラダしてんなこの野郎。甘味ばっかり食ってるくせに。
 バカに促されて大浴場に行く。初日は入ったけどあんまり記憶にないから、珍しさが先に立つ。せっかくだから露天とか行ってみたいのに、バカが邪魔をした。

「俺、露天嫌い」
「なんでだよ!?」
「せっかくあったまったのに寒い中戻んなきゃいけないなんて風呂じゃない」
「温泉旅行っつったら露天だろ!」
「嫌い。俺が行かないからお前も行くな」
「なにそのジャイアンな思考!?」
「俺、お前の護衛だから。俺が行けないとこにはお前も行くな」

 逆だろ、俺の行くとこ必ずお前が行くのが護衛だろ。どんな不精な護衛だよ。近藤さん絶対騙されてる。コイツはやりたくないことなんか指一本動かす気はないんだ。いつもの万事屋だ。仕事だからとか関係ない。
 無視して行こうとするとわざわざ右手の傷めたところを握ってきやがる嫌がらせ付き。

「次俺の言うことに逆らったらキ○タマ握り潰すから」
「よく他人のキン○マなんか触る気になるな!? そっちのがすげえよ!」
「俺は触りたくねえけど、おめーが触られてえなら好きにすれば? あらやだ多串くんたら、俺貞操の危機? きゃあー」
「〜〜〜ッ」

 露天は、諦めた。
 その代わり背中は流させた。左手だけだと背中って洗いにくい。他も洗いにくいけどなんとかなる。頭も右側が洗いにくいが悔しいから黙っとく。
 万事屋は烏の行水もかくやって早さで全身を洗ったんだか洗ってないんだか、

「そんな洗い方じゃ髪も爆発するわ」
「ほっとけサラサラストレート。いい気になんなよ」

 何こいつ、風呂で目ェ瞑るの怖いとか? 後ろに何者かがいるような気になるとか? ないわ、アホだわ……俺も早く流そうっと。

「? なにキョロキョロしてんだよ」
「は? してねえよ、してたとしたら間違ってお姉ちゃん入ってこねえかなっていう願望の現れだよ」
「覗きの現行犯で逮捕すんぞテメェ」
「してませんー証拠もありませんー。そもそも女いないですぅ」

 ほんっと、一から十まで憎たらしい。気に入らない。気疲れするっつーか、ストレス溜まるわ。早く帰りてえ。
 風呂から上がったらあろうことか浴衣で揉めた。そっちの柄がいいから取り替えろだと。ガキかテメェは。

「いて、」
「?」
「や、なんでもない」

 万事屋がさり気なく辺りを見回したのが視界に入った。どうした、と尋ねたら『姉ちゃん探してんに決まってんだろ、風呂場だぞ』となぜかバカにされた。風呂場って必ず覗きしないといけないのか。そんなバカな。

 その夜もぐっすり眠れた。夜中に少しだけ目が覚めたような気もする。隣に寝てるはずの万事屋はいなくて、どこにいるのかと思ったら部屋の入り口で木刀抱えて鼻提灯出してた。寝相悪いっつーか、あれは戦争時代の習性みたいなもんなのだろうか。だとしたら哀れな。

 朝飯も、昼飯も万事屋方式の半分こさせられ、箸を持たせて貰えない。この際子供みたいだがスプーンとフォークを頼もうとすると、『わーいお子ちゃまー! おはちはむじゅかちいでちゅかー?』とか言いやがってイラッとしたから止めた。それに少しは回復してきたから、万事屋のバカが小さくちぎったヤツなら行儀悪く箸ぶっ刺せば自分で食えなくもない。口にまで運ばれるのはほんと恥ずかしいからやめてほしい。
 部屋に篭っててもつまんねえし、足腰が鈍りそうだから温泉街を探索することにした。やっぱり万事屋は行きたがらなくてブウブウ文句言ってたが、俺が構わず出かけようとすると渋々ついてきた。

「なに、土産とか買うの」
「今買ってもな。帰る日に買わねえと傷むだろ」
「そうそう。やめとけ、荷物持ちは護衛のうちに入んねえから」
「怪我人労われよクソ天パ!?」

 温泉玉子買った。食おうとしたらまた半分こを要求された。ほんとコイツの躾どうなってんの。吉田松陽なにやってたの。結構な学者だと聞いてたけど、食卓のマナーは教えといてやれよ可哀想なことになってんぞあんたの弟子。
 同じような旅行客とすれ違う。ぞわり、と俺の勘が蠢く。

「おい、」
「多串くん玉子お代わり。もっかい半分こしようぜ」
「バカ、邪魔すんな」
「え、独り占め? 独り占めする気か、セコイぞ多串くん」

 気配は消えた。クソ天パのせいだ。邪魔しやがって、あれは犯罪者の気配だった。まあ、確かに江戸じゃねえし。俺の管轄じゃねえから放っといていいんだけど。地元の奉行所に忠告くらいはできたのに。
 そうして宿に帰る。万事屋は俺の半歩後ろに付く。

「多串くん。ちょっと待って」
「?」
「……帯になんかついてたから。取れた」

 帯の結び目を後ろから引かれて、ほんの一瞬俺は立ち止まる羽目になる。その間、わずかに万事屋が俺の前に出た。

「おい。お前、袖」
「ん? あれ。どうしたんだろ、いつの間に」

 万事屋の浴衣の袖が、スッパリと鋭利な刃物で切られていた。
 周りを探せばきっと切れた原因があるはずなのに、『休養中だろ、面倒くせえからもう入ろうぜ』などと抜かして万事屋は俺を引っ張って部屋に入ってしまった。偶然なのか、そうでないのか。それさえよくわからないままに、万事屋が有耶無耶にしてしまった。
 夜中にまたうとうとと半ば目が覚める。

『……出てきたぜ。そっちは』

 これは、万事屋の声。ムカつくが敵ではないからまた寝よう。

『そろそろ………だろ。こっち? あたりめーだ、任せろ』


 五日目に、右手がほとんど元通り動くようになった、と言ったら万事屋がいきなりそこを握りしめてきた。

「痛ってえ!?」
「治ってない。まだ痛えんじゃん嘘つき」
「そんな握り方したら痛えに決まってんだろ!? 悪化するわ! なんか恨みでもあんの? 長くここにいて報酬せびる作戦!?」
「あ、それいいな。追加料金取れるかな」

 涼しい顔で言い切って、また万事屋方式の半分こで朝飯。なんかもう、文句言うのも面倒になってきた。慣れたっつーか。もうどうでもいい。どうせなら全部コイツにやらせよう。
 浴衣もどっちがどっち着るかで毎朝揉めるが、それもどうでもいい。好きなほう選べ、俺はどっちでもいいっつーか、着られさえすればいい。

 せっかく温泉地に来たんだから火山口が見たい、と言ったら例によって駄々を捏ね出した。面倒くさい、行きたくない、部屋でダラダラしてたいだと。

「じゃあ俺一人で行く」
「なんでそんなワガママなの。もうっしょうがねえな今日だけだぞ有難く思え」
「何をだよ!? むしろついてくんな!」
「ええっ一人で何すんの。ナンパ? ヤダヤダ、俺にもお裾分けしろ」
「しねえよ! ナンパもお裾分けもぉぉお!」

 観光スポットになってるくらいだからそう足場は悪くない。男二人なら三十分もあれば着くだろうと踏んだのに、

「ちょっとこっち寄ろう」
「何でだよ!?」
「俺が寄りたいから」
「俺は寄りたくない」
「ダメ。俺がルールだ」
「お前一巻のときはもうちょっと謙虚だったよね!? 俺『の』ルールって言ってたよね!?」
「過去は振り返らねえ主義だから」

 バカがやたら寄り道するんで一時間半も掛かった。特に何を見るでもない、気まぐれの寄り道に付き合わされて釈然としない。それでも火山口には辿り着いた。途端にバカは俺の腕をガシッと握りしめた。

「何やってんだ」
「俺、高所恐怖症だから」
「全然ビビってねえくせになに言ってんだ!? 離せ」
「ダメ。離したら漏らす」
「漏らせよ勝手に!? 俺に頼るな」
「ヤダ。離したら死んじゃう。死んだら化けて出てやる」
「う……」

 怖いとかじゃねえけど。コイツが化けて出たらマジ鬱陶しそうだから、好きにさせとく。俺が前に出ようとすると物凄い力で止めにくるのがウザいけど、まあ、満足。すげえな、自然の力って。

「降りるか」
「やだ。もう少し見る」
「どっちだよ!? 怖えのかそうじゃねえのかハッキリしろよ!?」
「怖え。腰抜けたからもう少し見る」
「ピンシャンしてんだろがァァア!?」

 まただ。後ろ、かなり距離は離れてるが、また気配がする。振り返ろうとすると万事屋が後ろに立ちはだかった。


「見るな。お前は遊んでりゃいい」


「御用改めであるーーッ神妙にお縄に付けェェエ!」


 万事屋の顔をまじまじと見る。相変わらず涼しい顔で、火口なんか呑気に覗いてる。

「おい、なんか後ろ、」
「え? なに、スタンドでも出してる? 俺」
「いやそうじゃねえだろ! 今、御用改めって」
「幻聴じゃね? 仕事熱心にも程があんよ、土方くん」
「……?」

「副長ッ、ご無事ですか」

「山崎?」
「ご無事に決まってんだろ、誰が護衛してると思ってんだ」

 チッ、と万事屋は舌打ちした。

「せっかく仕事忘れさせてやったのによぉ! 何でもっと目立たねえとこでやんねえんだよ。バレちまったじゃねえか、クソが」



 俺の暗殺計画を、山崎が掴んでいたらしい。
 本来なら俺に報告があって然るべきだったが、ちょうど俺は不注意な負傷をした。近藤さんが山崎を問い詰めた結果、対象である俺を江戸から放り出した。

「もちろん、正直に副長に言ったら何が何でも江戸に残るって言うに決まってるからって、局長が」
「……」

 近藤さんは俺には知らせなかったが、俺が江戸にいないことはすぐにわかってしまうだろうからと、万事屋を護衛につけた。万事屋はすべてを承知の上でその依頼を引き受けたんだそうだ。

「誰が暗殺者か協力者か、まるで見当がつかねえっつーからよ。毒殺ってこともあんだろうと思って。食い物は全部半分こした。一応毒味してやったんだぜ? 偉くね?」
「……風呂は?」
「バッカおめー、武器も持たずにマッパになるとこなんていちばん危ねえだろうが。近距離攻撃なら対応できっけど、露天なんか行かれて狙撃されたらたまったモンじゃねえし」
「袖口切られたのはッ」
「ありゃ嫌がらせっつーか。見張ってんぞっつー意思表示みてえなモンだろ。浴衣にも仕込み針入ってたぜ。結構痛えのな。あの日は布団に横になれなかったわ、くそう」
「……それで、入り口で、」
「あれ? 爆睡してなかったっけ? まあ、部屋の構造からして入り口から入って来るしかねえかなって踏んだんで、どうせ痛くて眠れねえなら張り込みでもすっかと」
「ここに来るまでは!? 寄り道したのは」
「アヤシイのがウロウロしてたからな。とっ捕まえても良かったんだけど」

 万事屋はフン、と鼻を鳴らした。

「せっかく休暇満喫中なのに眼の前で捕物すんのもどうかと思ったんで。真選組が来てるってわかってたし、そっちに任せて観光でもしとけって思っただけ。火山口はさすがに突き飛ばされたりしたら一巻の終わりだから、けっこうヒヤヒヤしたけど。まあ、全部とっ捕まえたんだろ?」
「ハイッ、主犯格から下っ端まで、一網打尽です」
「だってよ。これで安心して温泉玉子買えるね。一人でまるまる食えるぜ、良かったな」

 五日間、俺は完璧な護衛を側に置いていたわけだ。そうと気づきもせずに。休息を取らせてやれというのが近藤さんの依頼だとしても、すぐそばに俺を狙う暗殺者がいたというのに、気配さえかき消して。

「おめーは勘がいいからよ。ほっとくとすぐ気づいちまうから、それがいちばん厄介だったかな」

 のんびりと宣う万事屋は、辺りをキョロキョロと見回した。

「俺まだひとつも観光気分味わってねーんだよ、契約は一週間だよね? あと二日いてもいい?」
「さあ。俺たちはひっ捕えたらすぐ戻れって言われてるんで。帰ります」
「じゃあ副長サンと銀さんは、あと二日残りマス。お楽しみはこれからだろ?」

 万事屋は俺を見て、ニヤリと笑った。

「俺もナンパに励むから。吠え面かくなよ」
「はっ!? テメェにゃ負けねえから! つーかもうくっついてくる必要ねえだろ!? 別行動しろよ」
「やだ。土方くんズルするかもしんないじゃん」


 その名を久しぶりに呼ばれる。さっきもそうだった。
 できる限り俺の正体を隠すために、ふざけた呼び方で本名を隠していたのも今となっては分かりすぎるほどわかる。
 このクソ天パに護られていたことがすべて白日の下に晒され、悔しいのはもちろんだが、それとは別に、なぜか気恥ずかしい。

 今日こそ露天風呂行こうな、などと言われて頬に血が差す。思い出されるのは、万事屋の均整の取れた躰つき。

「土方くん。顔真っ赤」
「うるせェェェア!? ほっとけよぉぉオォオ!」

 絶叫する俺の横で、万事屋は幸せそうなツラをぶら下げて耳に指栓をしている。俺を見てニヤニヤ笑うのはやめろ。


「じゃあ、俺は土方くんをナンパしまーす。職務も続行できるし、一石二鳥!」


 アホかと思いつつも、あと二日、このぬるま湯に浸れるのも悪くない、と思ったりして。



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最初から雲行き怪しかったー!
汁は銀さんがこっそりひと口飲んでから
すり替えてったー!

あきママリクエスト
「捕物で負傷した土方さんに
療養と強制休暇が言い渡され、
護衛を兼ねた銀さんと温泉辺りで
のんびりまったりするはずが
途中で雲行きが怪しくなる…」 

リクエストありがとうございました!
やり直し請求承りますm(_ _)m




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