憩いの場


「だだいまーっと、あれ?」
「銀さん」
「おー新八。帰ったぞー土方来てんの? 靴あったけど、玄関に」
「白々しい。つうかどこ行ってたんですか昼間っから」
「暇だし金ねーしちょっと投資をだな……」
「パチンコでスってきたんだろうがァァア!? 減るに決まってる投資ってなんだ! 僕たちの給料は? 今月の家賃は?」
「なんとかなんだろウッセーな小姑は嫌われんぞ」
「嫌いで結構ネ。コジュートはヨメを虐めてなんぼネ。渡る世間は鬼畜ばっかりネ」
「おめーはもう少し一般的な家庭を知れ。ドラマになるほど劇的な家庭はいらねっつーの。テレビでお腹いっぱいだっつーの」
「嫁さんが男な段階で充分劇的なんですけど」
「お、そうだ。土方は?」
「……」
「……」
「?」


「突然入ってきて『寝る』って言ったっきり、銀さんの部屋でだんまりです」
「えっ」
「一人で何してるネ? きっとナニしてるネ。変な声聞こえたらヤダから私たちこっちでテレビ見て昼寝してるアル」
「いや神楽ちゃんは土方さん来る前からテレビ見て昼寝してたでしょ。お土産の匂いで起きたでしょ」
「お土産? 何持ってきたのあいつ」
「お前はその前に言うことあんだろーがァァア!? どういうことだかハッキリしてもらいましょうか!?」
「つき合うんだか突き合うんだか知らないけど、ヨソでやってほしいアル」
「……え」
「土方さんも土方さんですよ、もっと仕事には真面目な人かと思ってたのに真昼間からカレシんちの、しかも寝室って」
「お、おう……」
「まだ万事屋の営業時間内アル。アッハンウッフンなら外でやるヨロシ」
「いやアッハンウッフンする時間じゃないってとこが問題なんでしょ! そーいう待ち合わせは時間外に個人的にやってくださいッ」
「待て、誤解だ! ま、待ち合わせしてねえから!」
「じゃなんで来たんですか。ただ寝てるんですか」
「知らんわ! 俺何にも言ってねーし! 見当もつかねーから!」
「じゃあアレは何なんですか」
「なにって言われてもなぁ……なんかあったのかなぁ」
「銀さん本当に約束してないんですか」
「全然」
「……ほんとのほんとアルか」
「土方来んのにパチンコ行かねえって。知ってたらここで待ってるだろ」
「……それもそうですね」
「さすがの俺もおめーらの前で公開アッハンウッフンはなあ」
「連れ込んだことは数知れずアルのに?」
「そんな連れ込んでねえよ! じゃなくて連れ込んでねえよ!! えっなに、土方なんか言ってたの、なんかブッソーなこと言ってなーい?」
「だから『寝る』っつったっきりですってば」
「ちょっと見てく……」
「あああああ! 見に行くだけでしょうね!? おっ始めたりしませんよね!?」
「オイオイ新八、俺だって常識はありますよ? だいたいウチは仕事待つのも仕事のうちだからね、仕事中だからね。仕事中に遊びに行ったりは……」
「たった今遊びから帰ってきたヤツがなに言ってんだァァァア!?」
「だからこれは投資だって。遊んでた訳じゃないんですぅ」
「アレって投資家でいっぱいなのかよ!?」
「土方はそういうケジメにゃ煩いモンだと思ってたんだがなぁ。ちょっとガツンと言わねーとダメかな。こういうケジメはつき合い長くなると余計大事だからな」
「アンタにケジメとか言われたくないよね!?」
「嫁を躾けるのは旦那の役目ネ。ほら出てきたヨ。寝癖すごいアルけど」



「ぎんとき。おかえり」
「土方ァ。シャキっとしろなーに寝ぼけてんだ顔洗ってこい、もうオヤツ時だけど」
「あそびってなんだ。どっかで遊んできたのか」
「は? 何が? 休憩だよ休憩、昼休みみたいな」
「昼下がりの休憩?」
「微妙に違う! だいたい合ってるけど大きく違う! あー、ちょっと話あるから目ェ覚ませ」
「ぎんとき、おれなぁ」
「オイィィ! いきなり引っ付くな!?」


「土方さん……僕たちいるんですけど」
「銀ちゃんの隣は私ネ! お前向かい側行けヨ」
「ゴホン、えーと土方、ちょ、くっつき過ぎ。っつか……うわ!膝乗んなコラ、まだ真昼間だろ!」
「うー……」
「躾のなってない嫁アル」
「躾はどうでもいいんですがイチャつくの止めてくれませんか」
「俺のせいなの!? 俺ただ話しようとしてるだけなのに!? ちょ、十四郎! ハウス!」
「わん」
「……」
「……」
「……」


「新八詰めてヨ。やっぱり私こっち側座るネキモイ」
「え、えっと」
「銀さん……土方さんに何してんですか、ハウスって……」
「や、思わず出たっつーか」
「いつもやってるから思わず出るネ、不潔ネ」
「やってねーし! 至ってノーマルだから! って何言わせんだコノヤロー、ちょ、土方! 離れろ」
「いやだ」
「あーーーっ!? 抱きつくな嬉しいけど、じゃねーや嬉しくない! 土方! 座れ!」
「俺なぁ、屯所で夜な夜な変なモンに取り憑かれてて」
「……夜な夜な?」
「布団が呪われててグニャグニャの冷え冷えだったり、寝巻きがビチャビチャに濡れてたり」
「あ、そゆことねびっくりした誰かがおめーに夜這いでも……」

「……銀さん」
「……銀ちゃん」

「ハッ!? ああ、うん、ゴホン、土方、まだウチは営業中だし新八も神楽もいるから」
「そんで眠ろうとすると耳元に念仏みたいのが流れてきて、ときどき冷やっこい風が部屋に入ってきて」
「うんそれ確実に沖田くんの嫌がらせだからね。おめーの心配してる方向と違うから。それよりここ万事屋でまだ昼間でウチの従業員たちが、」
「泣き声が聞こえることもあって、別にビビってねえけどなかなか眠れなくて……今日は午後から休みなんだけど屯所じゃ昼寝もできねーしお前のこと探したのにいねーしここでゆっくり寝ようと思ったのにお前いねえし」
「えっごめんね俺パチ屋篭ってて、」

「………銀さん」
「…………銀ちゃん」

「あっ!? お、おう! 土方あのなっ、まだ俺たち仕事中だしだいたい人前でいくらなんでもくっつき過ぎっつーか、オイィィイ!? どこに顔突っ込んでんの銀さんの銀さんに顔近づけないでくんない公開プレイとかあんましたくない、つかそもそも時と場所をだな、」
「んーーっ」

「…………銀さん」
「…………銀ちゃん」

「ひ、土方ちょっと離れなさい! 膝枕はいいから顔の向き……じゃなくて膝枕もダメ! 新八も神楽も見てるから!」
「ぎんとき、あったかい」
「あの、土方くん」
「……ぐう」
「……あの、」
「うぅ……むにゃ、ぎんときぃ」
「……えっと、」

「銀さん、ガツンとは?」
「ビシッと決めろヨ早く」
「うん、土方……あの、」
「すぅ……」



「えっと、悪ィこの埋め合わせはきっとするから今日は臨時休業でもいい? あと俺の部屋から上に掛けるモン取ってきて。ここで昼寝すっと夕方冷えるかもしんねーし、あの、えっと」
「……」
「……焼肉食べ放題で手ェ打っちゃるネ」
「打ってあげます。あと、土方さんのお土産は手ェつけないでくださいよ僕たち帰ってくるまで取っといてくださいね、つーか肉とか野菜とか傷む前にソレどうにかしてくださいよ!」
「う、うん……明日でもいい?」
「明日までそこで膝枕する気ですか!?」
「だって、疲れてるみてえだし可哀想だし、たまには」
「……」
「……」
「そ、その、好きに、させてやんねーとコイツもシンドイだろうし」
「……」
「……」
「えっと、ゆ、ゆっくり寝かせてやりたい、から、あの」
「……」
「……」



「どうせドSの嫌がらせに決まってるのにビビって眠れないアルよ、新八ィ明日このビビリマヨにも奢らせて豪華に焼肉食べに行くネ。じゃなあヘタレクルクル天パ、明日の夕飯までそこで固まってるヨロシ」



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ゆう様リクエスト
「銀さんに溺愛されている土方くんが
ベタベタに甘やかされているお話」

我儘土方になってしまいました。
リクエストありがとうございました!





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