魔女の一撃【後編】


「明日、近藤さんと総悟が学祭回ろうって」
「今度はそっちぃぃい!?」
「お前、まだ人混みは無理だろ。俺は行くけど、留守番してろよ」
「やだ! ヤダヤダやだヤダ!」
「だって歩けるか? 無理するとまた、」
「歩かない。十四郎もウチにいて」
「やだ」

 今日の晩御飯は冷凍餃子だった。飯は山ほど炊いてあるらしい。明日は俺が飯くらいセットしよう。いくら保温できるからって限度があるだろ。味噌汁も作れるかも。インスタント出汁って飽きる。冷凍餃子にはもちろん山盛りマヨネーズが掛かってた。これだから飯は俺担当なんだよ。十四郎の分だけ掛けてくれれば文句ないのに。

「……飲み会は行かないで」
「行くに決まってんだろ! 何のための学祭だよ、飲まなくてどうすんだ」
「だめ! 十四郎、酒入ると」
「近藤さんいるから大丈夫だ。あの人強いし」
「沖田は!? それにお前自分の酒癖」
「総悟には気をつける」

 寝る前に顔を洗おうとしたけど、中腰はまだダメだった。もう一度シャワー浴びて、歯磨きして、さっぱりした。もしかして今朝十四郎がキスしてくんなかったのって、俺が歯磨きしてなかったからな。そうだとしたら悪いことした。

「歯ァ磨いたよ! ちゅーしよう」
「うるさい。したら寝るぞ」

 やっぱりおざなりなキスで、十四郎は眠りに入った。久しぶりに十四郎の隣で眠れるのに、身体はまだ思うように動かなくて、抱きしめて眠るのは諦めなければならなかった。目の前にいるのに。くそう。
 五日目の朝も大した変わりはなくて、マヨ掛けご飯にマヨ味噌汁、俺が卵焼きを作ったのにちょっと目を離した隙にマヨネーズがたっぷり乗っていた。十四郎がやり遂げた感いっぱいの満足そうな顔をしてたので、もう文句言うのも面倒くさい。それを十四郎は急いでかっ込んで、いそいそ出かけていった。近藤たちと待ち合わせを してるんだって。ちぇ。

 十四郎が寝た後のベッド。そうっと腰を庇いながらそっちに移動して、枕の匂い嗅いでみたりして。変態か俺は。十四郎の匂いがした。枕を十四郎だと思うことにして、抱きしめて俺はまた寝た。夢の中で十四郎は、近藤に背後から抱きしめられて沖田にズボン脱がされようとしてた。

「十四郎逃げて! ゴリラ離れろ、沖田も」
「近藤さんも総悟もいねーよ、何やってんのお前」

 目を覚ましたら酒臭くてヤケに陽気な十四郎が俺を覗き込んでた。

「おかえり。無事だった?」
「無事ってなんだよ。ちゃんと酒セーブしただろ。もっと飲んで騒ぎたかった!」
「辰馬はっ? 高杉は」
「途中で合流した。桂もいた」
「なんでだよぉぉお! お前ら仲良かったっけ!?」
「たまたま会ったし。近藤さんは知らない奴でもすぐ仲良くなるし」
「何にもされなかった!?」
「ちょっと坂本に肩組まれたくらい」
「辰馬ァァぁあ……ぶっ殺す」

 十四郎はシャワーを浴びに行って、すぐ出てきた。十四郎はちゃんと家でも風呂上がりにシャツを着る。下はパンイチだけど。首からはバスタオル。そのカッコで冷蔵庫の前にしゃがみ、アイスコーヒーを出してきた。俺にはコーヒー牛乳をくれる。お揃いだ。なんか嬉しい。

「どうだよ。腰」
「少しは動けるようになったけど。まだまだ」
「明日病院行こうな。動けるようになったらもう一回来いって言われてたし」
「湿布もうないしな」
「原チャ乗れるか? タクシー使えば」
「金ねえよ」
「こんなときくらい使え。出してやるから」

 こんな会話していれば、十四郎が辰馬に狙われてることも、高杉が俺を怒らせるためだけに目をつけてることも、近藤や沖田が無神経に仲良くしてることも忘れられる。十四郎はやっぱり俺の恋人だ。
 動きがぎこちなくてカッコ悪いけど、ジリジリにじり寄って十四郎の唇にキスした。身長が同じってこういうときいい。俺より低かったら屈まなきゃならないし、そうしたらキスもできやしない。十四郎の唇からは、タバコと酒の匂いがした。やべ、勃っちゃった。

「じゃっ! おやすみ」
「もう寝るのか。昼間ずっと寝てたくせに」
「何でわかるよ」
「それしかねえだろ」
「そんでも寝る。おやすみ」
「ええー。寝るのか」
「おめーなぁぁあ!? 昨日も一昨日もその前も、あっさり寝たじゃねえかァァア! 俺がねるのはダメってどーゆうことだァァァア!」
「だって。昨日からベッド乗れるようになったし」

 十四郎の目つきがおかしい。だから言ったのに。だから僕はあんなに言いましたよ。キミは無視したけどね!
 十四郎は飲むとエッチになるんです。

「シたい」
「できませーーん! 勘弁して」
「なんでだよ。根性見せろ」
「だいたいな! 腰やられたのもおめーのせいじゃねえかって俺は疑ってんの! お前奥突かれんの好きだろ、俺は一生懸命腰振りました!」
「奥、気持ちイイもん。当たるとこあんだよ、そこゴリゴリされんの好き」
「―――ッ、口を慎めェェェエ!」

 俺も好きです。ゴリゴリっつーか、コリコリ? そこに擦り付けんの大好きです! でも出来ないからね今は!

「明日病院行くだろ」
「行くね」
「今日少しくらい悪くなっても大丈夫だろ」
「ええええ!? どんな理屈!?」
「上に乗る。そんならいいだろ」

 奥に届くし、とか言って十四郎は目をキラキラさせて俺を見つめる。俺がいいよって言うの待ってる。クーーーッ、可愛い!

「じゃあ乗って。その前に舐めさせて」
「!」

 素面だったらぶん殴られるけど、酒が入ってる十四郎ならやってくれるかも。嬉しく恥ずかしシックスナイン。もちろん、十四郎に俺の顔を跨いでもらうからね!
 十四郎は恥ずかしそうにもじもじしてたけれど、キスをしてシャツのボタンに手をかけると、たちまち甘く息を上げた。俺の首にしがみついて、ボタンを開け切るのを待ってる。キスを続けながら乳首を探り、先端に指を掠めるとビクッと反応した。

「やめるなんて、言わねえよな?」
「ベッド行く前に。ちょっと待って」
「ぁ……んっ、そこ、舐めてぇ……」
「できません。屈めないから!」

 すると十四郎は困ってもじもじしていたけど、思い切ったように膝立ちになって、前を広げて俺の口元に自分で乳首を宛てがってきた。

「これで、できる?」
「舐めてほしいの」
「ほしいッ、銀時の舌、キモチイもん……」

 ちゅっ、と吸いついて舌で小さな突起を転がす。気持ち良くて十四郎は腰が砕けてしまって、すぐずり下がってしまう。

「届かないよ」
「んんっ、だって……っ座ってらんない」
「ココも固くなってる」

 ボクサーパンツを押し上げて主張する十四郎の股間を軽く握って、上下に振ってやる。十四郎はぺたんと座り込んでしまった。

「脱いで。今日は脱がせてあげられない」
「ん……っそれくらい、できるだろ」
「できマセン。俺の前でパンツ脱いで」

 十四郎はちょっと迷ってから俺の前に立った。恐る恐るパンツに手を掛ける。目の前に黒々とした陰毛が現れて、それから、ふるん、と勃ち上がった陰茎が勢い良く飛び出してきた。

「乳首で勃っちゃったの」
「ちがう!……キスで、もう」

 うっはー! 目の前の十四郎自身には口が届かないから、とりあえずガン見する。いらやしい。見てるだけでムクムクと頭を擡げ、亀頭がツヤツヤと張りを持ってくる。十四郎は両手で顔を覆った。

「顔隠してていいから、ココもっと見せてね」
「やだぁ……触って」
「よーく見てから」
「いじわる」

 陰毛を掻き分けて、陰茎を露出する。それだけで先端に涙を湛える可愛いそこ。脚の間に手を差し込んで、隠れている陰嚢をそっと取り出して手のひらに取る。

「も……っいいだろ、シて?」
「まだまだ。こっち寄って」
「〜〜〜っ」

 恥ずかしがりながら股間を俺の顔に寄せるところがまた、カワイイ。届くようになったので、双球に唇をつけ、片方ずつ口に含んで転がす。快感というより恥ずかしさで、十四郎は膝頭をしきりとこすり合わせる。俺の肩に遠慮がちに手を置いて体を支えていたけれど、もう堪らなくなったみたい。

「もうっベッド行くぅ」
「はいはい。先行ってて」

 何しろ時間かかるからね。でも、不自由なのもなんとなくイイ気がしてきた。俺もベッドによじ登り、仰向けに寝転がる。

「ささ、銀さんの顔んとこで、十四郎くんのお股広げて」
「ヘンタイッ」
「フツーだろ、ごく一般的なシックスナインだ」
「やだ……はずかしい」
「じゃあおやすみ」
「ダメッ」

 電気もベッドサイドのライトも全部つけっぱなし。十四郎気づいてないみたいだけど。俺の顔を跨ぐ恥ずかしさで頭いっぱい。むふふ。
 ついに決心して、俺の目のすぐそこで十四郎は脚をパッと広げた。ふる、とちんこが震え、尻の割れ目がぱくりと開く。俺の目の前で。

「うわあ。十四郎クン、ちんこもタマタマも、お尻の穴もまる見えなんだけど」
「言うなぁ! やだっやっぱり恥ずかしいっ」
「だーめ」

 太ももを抱きかかえてしまえば、十四郎はもう動けない。十四郎の目の前には俺の反り返ったちんこがそそり勃ってるはずだ。指が触れる感触がした。

「早く。舐めてよ」
「銀時が、先に……」
「やだ。十四郎が先。舐めてるときのちんことケツ穴観察するんだもん」
「やだ! やだやだ」
「するったらする。舐めて?」
「ぅぅう……」

 温かい粘膜に俺のモノが包まれた。はーキモチイイ。何日ぶりだろ、会ってる時は毎日シてたから、すげー久しぶりな気がする。気持ちイイ。ちょっとぎこちないところがまたイイ。
 十四郎のモノは明るいライトの下でひくり、と蠢いた。いやらしい穴がヒクヒクと広がったり閉じたりするのが丸見えだ。頭の下に枕を二人分差し入れて、その穴にいきなり舌をつけた。あっ、と十四郎は甘く呻き、俺のモノから口を離した。

「やめちゃダメ。続けて?」
「そこだめぇ……きたない、」
「さっきシャワー浴びたでしょ。洗わなかった?」
「……洗った」
「俺に触られてもイイように?」
「うん……っ」
「触られるとこ想像しながら洗ったの? ここ」
「うぅ、洗ったぁ……んあ」
「ちゃんと指使った? 中に指入れた?」
「い……れた、ッ中も、洗った……! おれっ、ヘンタイ?」
「すっげーヘンタイ。いやらしい子」
「うわあん……だって、ぎん、に、いっぱいさわってほしい、からっ」
「いっぱい触ってあげる」
「ああぁ……」

 穴の周りを指でなぞる。皺のひとつひとつを辿って、しつこく撫でる。十四郎のモノは勢い良く跳ねた。また大きくなったらしい。陰嚢を揉みながら、アナルへの刺激を続ける。十四郎は思い出したように俺のモノを口に含むが、すぐに息を切らして出してしまう。弱々しく手で扱くのもまた雰囲気的にイイ。キモチイくないけど。もう一度十四郎の恥ずかしい穴に口をつけて、舌をねじ込む。狭いから実際には少ししか入らないのだろうけど、まるで十四郎を内側から舐め回しているような気になってくるからすごい。十四郎もきっとそうなんだろう。小さな悲鳴をあげて、俺の股に顔を押し付けて倒れ込んだ。

「十四郎。ここに指入れたの。俺んちの風呂で」
「そう……っ」
「ここでもう一回やって。指入れてるとこ見せて」
「いや……」
「俺動けないのになぁ。あとでココに俺のマグナム入れたいでしょう? ちゃんと広がるかどうか、見せて」
「ひぃ……ん、や、見ないで」
「見る!」

 いつもなら十四郎の腕を引っ張って無理やりそこに指を当てがうんだけど、起き上がれないからお願いするしかない。お尻の穴いじって見せて、と言えば言うほど十四郎は恥ずかしくなって、なかなか手を出さない。でもやっと決心してくれたみたい。

「そうやったの」
「うう……あぁ」
「入れたの、一本?」
「……もっと、入れたぁん」
「ちゃーんと見せてよ。どうやったの」
「ふ……こう、やって……んふぅ」

 十四郎の指は三本も、ズッポリ入ってる。そろそろと入れたり出したりするたびに、穴は広がって指をぱくりと受け入れる。それを煌々と光るライトが照らし出す。くちゅ、くちゅと隠微な音がするのは、俺が舐め回して唾液が乾ききってないからだ。ベッドサイドに手を伸ばし、十四郎の指にローションを垂らす。

「ひいっ! 冷た……」
「もっとほぐして。俺のがそこに入るんだよ」
「ぎんとき、やってぇ……ん」
「できないんだもん。手が、だるくて」
「ああっ、ここぉ……ここキモチイっ」
「知ってる。十四郎、そこ触るとすごくいらやしくなっちゃうの」
「いやぁ! グチョグチョ、聞こえる」
「十四郎の穴が俺を食べる準備してる音だよ。良く聞いて」
「ああぁ……」

 充分ほぐれて、俺の目もたっぷり楽しめたところで十四郎に指を抜かせる。そのときにはもう、夢中で自分の中を掻き回していたから、なかなか言うことを聞かなかったけど、『俺のちんぽ、奥まで欲しくない?』と聞いてあげたら渋々抜いた。

「早くっ、入れて」
「ああー俺は寝てるしかできないんだなコレが。自分で入れて見て?」
「ひっ、無理」
「無理じゃないよ。いつも入ってるもん」

 十四郎は向き直って、俺の膝あたりに座り込んだ。最大限膨張した俺のモノを見て、怖気づいている。でもどうしても欲しいのはお互いに同じで、十四郎は俺のモノを握って自分の股を覗き込んだ。

「そうそう。お尻の穴にそれ当てて」
「……ぅう」
「そうっとね。腰、下ろしてって」
「ん……あぁ、入っ、て、ふあぁん」
「膝立てて。入ってるとこ見えない」
「それだとっ、深く、入っちゃ……ね、ぎんときも、腰」
「使えませーん。全部十四郎がやるんだよ?」
「ああぁぁ、深いっ、すご、深く入るぅぅう! ああっ、こんなのっ知らな……ああっ、ダメっヘンになっちゃうぅう!」
「ヘンになっちゃえよ。どこに当たるの?」
「なかぁッ! ここ、このへんっ」

 そう言って十四郎は、自分のへその下辺りを押さえて見せた。直腸通り越してんじゃないの、大丈夫なの。

「痛かったり、なんか……苦しくない?」
「ないっ! あああぁあ! キモチイッ、キモチイよぅ! ぎんときぃぃい!」

 それからは凄かった。十四郎は俺の上でメチャクチャ腰を振り、のけぞって乱れまくった。とうとう脚をだらしなく広げて、結合部を俺に見せつけるように股間を前にせり出して、さらに腰を振った。絶え間なく陰茎の先から汁が垂れて止まらなかったから、トコロテンしてたのかもしれない。俺がイッて萎えると不満そうに喉を鳴らし、今まで自分が尻穴で咥え込んでいたものを躊躇いなく口に含んで勃たせた。そしてまた俺に跨がる。その繰り返し。
 外がうっすら明るくなる頃、十四郎は体力が尽きて、気絶するように眠った。俺もやっと解放されて、惚けた十四郎の顔を見つめて幸せを噛みしめながら眠りについた。久しぶりに夢を見なかった。


 起きたらもう昼なんかとっくに過ぎていて、テレビをつけたら午後のロードショーやってた。十四郎はまだ寝てたので、なんとか起き出してトーストを焼く。カリッカリに焼けたからマーガリンに蜂蜜で美味しくいただく。クーーッ、トーストはこうじゃないと。

「……ぎんとき、」

 匂いで十四郎も目を覚ましたみたいだ。身体は辛いだろうから俺のほうから寄って行って、枕元に腰を下ろす。髪を撫でると嬉しそうに目を細めた。

「もう病院閉まっちまう」
「いいよ。明日で平気。血の巡りが良くなったから、すっげー身体軽い。トースト食べる? マヨたっぷりで。持ってきてあげる」
「無理すんな。自分のくらい自分でやる。俺のパンツは?」
「床に転がってる」
「あ、あった。よいしょ」
「不精すんな。ちゃんとベッドから降りて拾、」
「いっ……!? イテーーーッ、触んな触んな、アァァア!!」



 ――どうやら今度は俺が上に乗って腰を振る番らしい。




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原因:ヤリ過ぎ。

竜田様リクエスト
「ぎっくり腰になった坂田さんに
夜のご奉仕頑張る土方さん」

リクエストありがとうございました!




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