シアワセなんだもん


〜万事屋にて。

「万事屋、茶」
「自分で淹れろ」
「一応土方さんはお客さんなんですからそれはないでしょう、土方さんちょっと待っててくださいね、お湯見てきます」
「客ったってしょっちゅう来てんだから。茶っ葉のありかくれえ把握しとけ」
「生憎ここんちに茶っ葉があったことのほうが少ねえんでな。把握できねえ」
「かーーーッ嫌味!? じゃあ飲むな。茶っ葉惜しいから」
「銀ちゃん、その貴重な茶っ葉持ってきた客に対してそれはないアルよ。次持ってこなくなったらどうするアル」
「それもそうだな。じゃあ飲ませてやるよ。しょーがねえから」
「なんで何にもしてねえテメェが偉そうにしてんだ。俺ァテメェに言ったんだが」
「『茶』だけで銀さん動かそうったってそうはいかねーよ。お前こそなに偉そうに命令してんの。『風呂』『飯』『寝る』しか言わねえ昭Wの親父かテメーは」
「そう言っても動かねえテメェは何時代の野郎だ。縄文時代か」
「残念でしたー縄文時代に風呂ありませんー」
「あったかもしれねえだろ。ねえって証明できんのか」
「お茶の一杯でどんな時代考証してんのアンタら。いい加減にしてくださいよ、土方さんお茶どーぞ」
「ああ」
「感じ悪ッ! ウチの従業員タダで動かしといてなにそれ? ありがとうとか言わねーの、ああ縄文時代はありがとうとかなかったもんな! ごっめーん」
「なかったってなんでわかる。テメェこそ縄文時代の遺物か」

「くっだらないこといつまで言ってるアルか。私定春の散歩行くネ、聞いてらんねーヨ」
「出かけんのか。なら小遣い。菓子でも買え」
「キャホーイ! マヨラーいい奴アルな、ゆっくりしていくといいネ。こんなマダオの言うこと気にすることないアル」
「そうだな。そうする」
「僕、夕食の買い出し行ってきますけど土方さんご飯食べて行きます?」
「いや、そんなに長居はしねえ。お前もどうせ給料未払いなんだろ、好きなもん買え」
「えっいいんですか! ありがとうございます、遠慮なく」
「やだやだ。金で人心を買うたァ武士の風上にも置けねーな、テメーらも簡単に懐柔されてんじゃねーよ」
「何にもくれない銀ちゃんよりマシネ」
「何にもくれないどころか僕たちの給料使い込む雇い主よりずーーっといいです! じゃっ!」


 ガラガラッ、ピシャン。
 ひしっ、


「ごめんね十四郎」
「俺もごめんな銀時」
「あいつらに小遣いまで……ありがとな」
「いいんだ。世話になってるし、それに……」
「ん?」
「小遣いで遊んでる間は、俺が銀時独占できる、から」
「かわいい奴。俺はいつでも十四郎の銀さんだよ」

 ちゅーーーっ

「茶は? 飲まねえの」
「……いい」
「なんで。飲みたかったんじゃねえの?」
「……」
「なんだよ。遠慮すんな、っつーか買ってきてもらったので悪いけど」
「それは、いい」
「あれ? S和時代の親父とか言ったの気にしてる? ごめん」
「そうじゃない」
「どしたの」
「銀時に頼んだのに……」
「ん?」
「銀時が淹れた茶が飲みたかっただけだ。喉渇いてない」
「そっか……ごめんね。新八が淹れちゃったから怒ってんの?」
「うん」
「ごめんっ十四郎。大好き」

 ぎゅーーっ

「ぎんとき……くるしい」
「ふふふ、我慢しろよ。銀さんの愛だから」
「俺だって好きだ」
「わかってる。全部引っくるめて大好きだよ」
「俺もっ」
「じゃあ、お詫びにお茶飲ませてあげる」
「……どうやって」
「こうやって」

 お茶ひと口飲みっ、
 ちゅう………っ
 ごくん、

「ぷは……」
「飲めた?」
「もっと、飲むっ」
「いいよ。ん」
「んぅ……んく、ぷはっ」
「おいしい?」
「美味し……」
「いつでも飲ませたげるからね。言ってね」
「もう一回……っ」
「目がうるうるしてる。かわいい」
「ぎんときぃ」
「もう一回ね。ん……」


 ガラッ
 離れっ


「ゴクッ!? ゲホゲホ」
「うんこ袋忘れたアル。銀ちゃんどうしたネ」
「茶で噎せたんじゃねえか。ガッついて飲むからだみっともねえ」
「ゲホゲホッ、うっせーよ喉渇いてたんだよ緊急に飲まねえと死にそうだったんだよボケ」
「銀ちゃん……お茶、ひとつしか出てないアルけど」
「は? 俺んちの茶なんだから家主の俺がいつなんどき飲んだって文句ねえだろ! 自分で茶のひとつも淹れねえでふんぞり返ってるヤツにガタガタ言われる筋合いはねえから」
「自分で淹れればいいネ。銀ちゃんはお客さんじゃないんだから……ま、勝手にするヨロシ。定春ぅお待たせネ。今度はちゃんと持ったヨ」

 ガラガラガラ……トン。


「ぎんときっ大丈夫か!?」
「ダイジョーブダイジョーブ。ちょっとびっくりしただけ」
「ごめんな……俺が我儘言ったせいで」
「そんなことないよ。十四郎はもっと我儘言っていいんだからね。いつも頑張り過ぎなんだから」
「もう、苦しくねえ?」
「大丈夫。お茶、飲みたい?」
「茶じゃなくて……もう茶はいらない」
「じゃあ何がほしい?」
「……きす、して?」
「キスだけでいいの」
「ッ、まず、キスがいい」
「いくらでも。ん」

 ちゅーーーっ
 ひしっ、

「とうしろう……」
「ぎんときぃ……ぁ、」
「耳、弱いね十四郎」
「あ……っ、そこでしゃべっちゃ、だめだ……」
「だめなの?」
「だめ……じゃないっ、けど」
「けど?」
「ここでしたら、ぁん」
「キレイ。唇ピンク色になった」

 ちゅっ

「ああっ吸っちゃ、だめ……ッ」
「美味しそうなんだもん。柔らかくて」
「ぁ……俺もっ食べ、たいのに……はぁ」


 ガラガラガラ

 びょーん!
 離れッッ


「卵のタイムセール始まったんですよ! マイバッグ持ってくとお一人様二パックのところ三パックなんですって!」
「潰れるぞそのスーパー」
「何でだよ潰れねーように原価計算出来てんだよそーゆーのはわかってねえな公務員は、庶民は敏感だからね。こうやって新八だって倹約してんだから」
「まあそうですけど。でも閉店セールなんです」
「見ろ、そんな大盤振る舞いするってこたァ裏があんだ。グータラ寝てばっかりいるテメェにゃわからねえ理屈だろうよ、そのうち怪しい商法に引っかかって身包み剥がれて泣けクソ天パ」
「天パ関係ねーだろ。卵のセールくれえで身包み剥がれるほど大損害被らねえよこれ常識だからね、バカなの死ぬの」
「テメェがな」
「イヤそんなエキサイトするようなことでも……三パック買えたら土方さんの晩ごはんくらい出来ますよ。遠慮しないでいかがですか」
「いや、悪ィが夜にゃ戻らなきゃならねえ。気持ちだけもらっとく」
「早く行けよ新八、卵なくなんぞ。神楽の主食なんだから上手いことやって六パックゲットしてこい」
「一人で六パックも買えるわけないでしょ! 三パックで充分です、じゃ、行ってきます」


 ガラガラガラッ、ピシャ
 抱きっ


「十四郎ッ死なないで! ごめんね」
「死なない。銀時遺して死ねねえもん」
「ほんと?」
「だって……俺が死んだら」
「死なないで!」
「死なねえ。死んだら銀時、ほ、他の恋人ッ作る……ぐすっ」
「作るわけねえだろ。十四郎は? 俺が死んだら後添えもらう?」
「貰わねえっ! 生涯銀時だけだ! 当然だろ……でも、」
「でも?」
「もしの話でも……っ、死んだらなんて、言わねえで……!」
「言わない。ごめんね。一緒に歳取ろうね」
「うんっ」

 ぎゅうっ

「十四郎が真選組引退したらさ」
「?」
「一緒に、住めるかな」
「……ッ! 引退しなくても……一緒に、住みたい」
「……」
「……」

 ちゅーーーっ、
 ちゅっちゅ

「引っ越してくる?」
「……近藤さんに、なんて言おう」
「俺が挨拶に行こうか。ふふふ、十四郎をお嫁さんにくださいって」
「お嫁さん……」
「お嫁さん、嫌?」
「嫌じゃねえ。俺、銀時のお嫁さんになれるかな」
「なれるよ。つーか十四郎しかいねえよ」
「ほんとか」
「なんか心配?」
「六股、とか」
「しねえってば! アレは騙されたの!」
「……」
「十四郎のほうがモテるじゃん。大丈夫? マヨラー娘とか。俺刺されねえ?」
「とっつぁんの娘か。お前くっつけようとしただろ」
「してない。ほっぺにちゅうされてたじゃん」
「あれは不可抗力だ」
「ええーなんか嬉しそうだったけど」
「嬉しくないッ! 銀時じゃなきゃ嫌だ!」
「俺も。じゃあ俺も不可抗力」

 ちゅっ

「そこじゃなくて。銀時は、こっち」

 ぶっちゅーーーっ
 ちゅぱちゅぱ、ちゅーーーーっ

「ぎんとき……っ」
「とおしろう」


 ガラガラガラ、

 すぽぴょーーん!
 離れッッッ


「いい加減にしてくださいよ、こっちも外出のネタ尽きましたから」
「マヨラー、帰るとか言っといていつまでイチャイチャしてるネ。とっとと屯所でもホテルでも行ってちゅっちゅするヨロシ」




〜屯所にて。

「しー、な?」
「うん。静かにしてるね」
「総悟に見つかるととんでもねえことになるから。ごめんな」
「なに言ってんの。ウチの二人こそごめんな。追ん出しやがってあいつら」
「飯、運んでくる」
「無理すんなよ? 俺は外に食いに行けばいいんだから」
「嫌だ! 一緒にいてえんだ、行かねえでっ」
「行かない。待ってるから、無理しねえでゆっくりな」
「うん……」
「? どした」
「食堂、一緒に行けねえかな」
「それは……無理だろ」
「じゃあ! 俺も飯食わないっ」
「それはだめ。しっかり食って。体壊しちまうよ」
「銀時も腹減っちまうよな……山崎に持ってこさせよう」
「じゃあ俺は押し入れに隠れてるね」
「俺も押し入れ……」
「だーめ。ちょっとだけだから。ね?」

 ひしっ、

「……さみしい」
「十四郎。ここにいるよ、大丈夫」
「うん……」


「え。副長の部屋に?」
「なんか文句あるか」
「そんなに仕事詰まってましたっけ。つかアンタ非番じゃ……」
「だから?」
「まあ……いいですけどなんで二食分?」
「明日の朝も運びてえか」
「そりゃアレですけど、朝食もここで摂るなら朝は朝で運びますよ?」
「余計なことすんな。いいから今持ってこい。早くしろ」
「はあ……了解しました」


 スーーッ


「銀時、遅くなってごめんな」
「まだもっかいジミー来んじゃねえの」
「あのバカ! グダグダ屁理屈こねやがって……っ、銀時待たせてるのに」
「俺はずっと待ってるよ。大丈夫」
「でも……早くくっつきてえ」
「じゃあ今。ちょっとだけ」

 きゅううううっ
 ………ちゅっ、

「ぁ、」
「ごめん。顔見たら我慢出来なくなっちまった」
「ぎんときっ、俺、もう」
「俺もだよ十四郎っ、ん」

 ちゅうっ

「目がトロンてなっちゃってる、十四郎」
「だって……」
「かわいい。かわいいけど、そんな顔ジミーなんかに見せねえで?」
「うん。見せねえからもう一回」
「ん」

 ちゅっ
 ちゅっちゅっちゅうっ

「副長、失礼しまーす」


 ピシャッ!
 ふう……


「いいぞ」
「夕食でー……ってなんでそんな端っこにいるんです」
「なにがだ」
「押し入れに寄り添って何してんのかなーと……あ、一人じゃ持ちきれなかったんで。鉄、」
「ふっ、副長! 夕食をお持ちしたでありますっ」
「……置いとけ。山崎も。退がっていいぞ」
「ですが! 自分は、副長がお食事を終えられたら、片付けをいたしますので!」
「ので?」
「召し上がるのをお待ちします」
「邪魔」
「お邪魔になりませんように、隅っこにおります! あ、押し入れの前辺りでお待」
「……出てけ」
「えっ」
「俺の部屋に勝手に入るなァァア! 出てけテメェら、呼ぶまで入ってくんなよ! わかったか!」
「ハイッ、も、申し訳ありませんッ」
「はーい……鉄、近寄っちゃダメだよ」
「なんででありますか、自分……」

 副長のためになんとかかんとか、うんたらかんたら
 シーン


「あぶねえ……」
「銀時ごめんなっ! バカのチビのデブチェリーがお前に近寄ろうとして……!」
「いいよいいよ。知らなかったんだからしょうがない。あんま怒んないで?」
「むぅ……鉄の味方すんのか」
「そうじゃないよ。怒ると十四郎が疲れるだろ。ほら、眉間にシワ」
「ん」
「せっかくのかわいい顔に、こんな皺寄せないで。俺といるときくらい。ね?」
「うん。食べよう」
「そだね。いただきます」
「銀時」
「なーに」
「あーん」
「あーん」
「ふふふ」
「ふふふ。新婚さんみたいだね」
「新婚さん……になれる、かな俺」
「なれるよ。なろうな」
「うん……っ」
「マヨネーズあんま掛けるとあーんてしにくいんだけど」
「じゃあ後で吸うから、今は我慢するっ」
「いい子。あーん」
「あーん」
「うふふ」
「ふふふ」


 ドゴーン、
 パラパラパラ


「いつまで続くんですかィそのうすら寒い新婚ゴッコ、垂れ流しで聞かされるコッチの身にもなんなせェいくら旦那隠しても俺の部屋まで声が筒抜けなんでさァ。とっとと新居でもホテルでも探してここ出ていきやがれ、ペッ」



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る〜様リクエスト
「人前ではお互いめちゃクールなのに、
二人きりになった途端ラブラブで
べったべたに甘々でバカップルになっちゃう
銀土の日常」

だんだんクールさが保てなくなるのも
仕様です(キリッ

リクエストありがとうございました!





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