オレ ノ モノ


 ザッ……

「こっち人影は見当たりません銀さん、どーぞ」
「俺も見当たらねーよ。つかやめろよ無線ぽい喋り方。俺隣にいんだろ。ダセーだろ」
「スパイ大作戦アル。こっちゃ無線もないビンボースパイなんだから雰囲気だけでも盛り上がんないとやってらんないアル」
「やんなくていいから。土方は俺Loveだから。ほっときゃ俺んとこに帰ってくるから」
「甘い! 甘いです、それならもっと早くくるはずでしょ」
「しつこい男は嫌われるアル」
「は!? 俺嫌われてねーもん!」
「じゃあなんで土方さん出てこないんですか」
「マヨネーズに釣られてあっちに取られちゃったかもしれないネ」
「……いやいやいや! マヨより俺だろ! 土方ァァア! 銀さんの胸に飛び込んでこーーーい!」
「……」
「……」
「来ませんよ」
「いい加減現実見たほうがいいアル。銀ちゃんそんなに愛されてないネ」
「ナイナイナイ! ナイからね! 俺が見つけられないんだよ、早く探してやんないと。きっと一人で泣いて……」
「ナイですね」
「希望的観測も大概にしろヨ。早く取っ捕まえるネ、焼肉食べ放題アル」
「おい焼肉どっから出てきた!?」
「マヨラーゲットしたら食べさせてくれるネ、きっと」
「それこそ希望的観測! 希望にもほどがあんだろーーーっ」



「ふん。ポッと出の万事屋なんかにトシは渡さないもんねーーだ!」
「俺は要りやせん。あっちーんでサッサとくれてやりやしょーぜ」
「何言ってんですか、真選組が揃って副長取られたなんてカッコ悪いじゃないですか! きっとあんぱん山ほど買いに行ってるんです。籠城するつもりですよ! 早く助けに行かないとあんぱん傷んじゃう」
「テメーは頭が傷んで発酵してらァ。俺、パス」
「総悟! やるからには勝たなきゃダメだ。トシは絶対こっちに帰って来たいはずだ! 早く見つけてやんないと万事屋の毒牙に……っ」
「もう手遅れだと思いやすぜ」
「ちがーーーうそんなんじゃないから! 万事屋なんか無職じゃん! うさん臭いじゃん! お父さんは許しませんからねーーっ!」



「銀時さま。土方さまの生体反応は追跡できません」
「まさか、あいつら負けたくねえからって土方を消し……」
「そんなわけないでしょ。土方さんいなかったら真選組なんてただのチンピラ集団ですよ」
「マヨラーがいちばんチンピラアルけどな」
「チンピラが形だけでも警察っぽく見えてんのは土方さんのお陰ですから」
「いちばん揉め事起こすアルけどな」
「なんなんだよォォオ!? 土方真面目に仕事してるだろ!? してるから俺とデートできないんだろ!? いいじゃんたまには俺とイチャイチャベタベタさせてくれよォォオ! 俺はしたいです」
「イチャイチャベタベタは知りませんけど焼肉は食べたいです」
「俺も土方の姿焼き食べたい」
「姿焼きって」
「こんがり嫉妬に妬けました」
「上手くねーよ! アンタが妬けてどうすんだ! くだらねーこと言ってないで探しますよ。定春、土方さんの匂いしないの?」
「……くしゅっ」
「定春、ドッグフード食べ放題アルよ! 頑張るネ!」
「……くあぁ」



「ザキ、聞き込みは?」
「それが……屯所出たっきり手掛かりもなく」
「そのまんま消えてくんねーかな、俺が副長の座をゲットだぜィ」
「総悟、メッ! トシは帰ってくる! だって冷蔵庫にマヨネーズいっぱい入れといたもん」
「終兄さーん、私物を冷蔵庫に入れた咎により粛清しちまってくだせーい」
「えっ破亜限堕津はセーフだよね? 冷凍庫だからいいよね?」
「そもそもなんで私物入れちゃいけないんですか、私物以外何入れるんですかあの冷蔵庫」
「知らね。土方さんが勝手に決めたんじゃね、自分が黄色いドロドロ入れるために」
「もうすぐタイムセール始まるのに……副長ーーーっ! 冷蔵庫にあんぱん入れちゃいますよーーー! いいんですかぁぁあ!?」



「つうか、たまよ」
「なんでしょう銀時さま」
「おめー、ジミーにも聞かれたんじゃね? 土方の居所」
「聞かれました」
「おいポンコツ、敵に情報流してんじゃねーよ!? スクラップにすっぞ」
「うちの娘スクラップにする前にテメーをスクラップにしてやろうかぁぁあ!?」
「げっ、ババア」
「そんなこったろうと思ってね。副長サンのデータはあらかじめ消しといたんだよ。だから聞いても無駄だよ」
「なんて余計なことすんだよこの宇宙戦艦! 土方のデータ……ってウソつけ。土方の生体反応探したじゃねーか、知ってるじゃん土方のこと」
「揉め事の原因だけ消せば用は足りるからね。最新データだけ削除したよ」
「なんでそんなことすんだよォォオ!? 土方のお宝映像全部撮っとけっつったろーがポンコツ!」
「銀さん……そんなことするから土方さんに嫌われたんじゃ」
「そんなことないもん」
「銀時さまご安心ください。一昨日以前の土方さまのデータは保存してあります。夜分に銀時さまと大声を上げて激しい運動をなさっていた様子も逐一……」
「たま、それも消しな。コイツごと消しておしまい」
「了解しました」
「ダメーーーッ消しちゃダメェェエ! 俺も消すな生きてそれ見るんだァァア!」



「おととい旦那ンとこ泊まってたじゃねーですかィ。現実見ねえと近藤さん」
「それはアレだ、飲み比べ! 飲み比べの決着がつかなかったんだよウン、屯所でやればいいのにトシ真面目だから一般人入れちゃいけないって思ったんだきっと、はっはっは」
「いやバンバン夜這いかけられてあんあん言ってまさぁ」
「それに一昨日は屯所にマヨネーズがなくて副長キレてどっか行っちゃっただけです」
「どっかじゃねーだろィ。旦那んとこだろ」
「一昨日はタイムセール間に合わなかったんですよォォオ! 鉄に頼んどいたのに! 鉄のバカ!」
「お言葉ですが、自分その時副長にタバコ買ってこいって言われて外出してたんであります! マヨボロが近くのタバコ屋になくて! ちょっと遠征したらマヨネーズ売り切れました! 正価で買っても良かったでしょうか」
「トシが払うんだからいいんじゃね?」
「そこは気を利かせろっつーの小姓のくせに! ちょっとくらいの出費なんか屁でもないよどうせ副長のお金だし」
「もういらねェだろあんなニコマヨ中。なんなら俺がサクッと斬ってくるぜィ」
「斬っちゃダメだってば! バズーカもダメ! 総悟っ!」



「でも、どうして土方さまを取り合うような事態になったのですか」
「あ? 知らねーよ昨日屯所に帰る前まではごくフツーに平穏に幸せだったんだよ今朝になってゴリラが『トシはやらねーからな! 先にトシ捕まえたほうが勝ちだから! 負けねーから!』って一方的に電話してきて、なんか始まったんだよ」
「銀さんなんか余計なこと言ったんじゃないんですか。土方さんに」
「俺は言ってねーよ? 土方が『屯所にいるとどいつもこいつも副長副長って頼って来やがって、少しはテメーの頭でモノ考えろってんだ』って溢してたからちょーっとゴリラに苦情言ったけど」
「それが余計ネ。なに言ったネ」
「あ? そのまんまだよ。『あんま土方に頼んねーでその肩の上に乗ってる帽子の台座使えっつっても無理だよなー! バカは死ななきゃ治んねーってカワイソー! あーあ土方だって周りがバカばっかじゃなかったらなー! あんないい男なのに色気もクソもねえ取り合いされて可哀想! 俺んとこ寄越せ』って」
「どこがそのまんま!? 余計なモンいっぱいで原型留めてねーよ!?」
「ホントにカワイソーネ。別の意味で」
「うるせー! 土方だってウチにいたほうが幸せに決まってんだろ! ウチだって土方いたら毎日焼肉だぞ? 両方幸せじゃねーかよく考えろ」
「おお! やっぱ焼肉食べられるアルか、よっしゃ気合い入れるネ! マヨラァァァア! 出てこねーと私の傘が火を吹くネェェエ!」
「ちょ、神楽ちゃん! もう吹いてる吹いてる、その辺壊さないでェェ! 土方さァァァん! 早く出てきて神楽ちゃんに焼肉食べさせたってくださァァァい! 江戸が焼け野原になる前にィィィイ!」
「ん? あれは」

「あっ、万事屋の連中です!」
「チャイナぁ器物損壊の現行犯で逮捕してやらァちょっと待ってろィ」
「総悟ォォオ!? おめーまで器物損壊しないでェェェ! トシ出てこなくなっちゃう! トシ怒って家出しちゃうぅぅう!」
「もう家出してます、局長」
「トシィィイ! 早く帰ってきてェェエ! 始末書の処理ィィイ! あばばばば」
「副長ーーー! 隠れてると始末書がどんどん増えますよーーーっ!」
「そんなカワイソーなとこに土方やれるかボケェェエ」
「おめーが引っ込めば始末書いらなくなんだよ! 引っ込め無職」
「ストーカーのくせに! 土方ァァァア! 銀さんが守ったげるからねーー!」
「させるかァァァア! トシィィイ! 早く帰っておいでェェエ!」




「帰るかっつーの。親父、次冷やで」
「はいよ」




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副長はぐちり屋に避難中。

あさぎ様リクエスト
「銀さん(万事屋)と真撰組の土方さん争奪戦」

リクエストありがとうございました!




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