土方十四郎の事情


 今日も坂田は俺といた。
 だからあいつは無実だ。

 でも、それは俺しか知らないことで、俺しか証明し得ない事項だ。
 目撃者は真選組副長。無実の証明には申し分ない。
 それでも俺は坂田のための証言を躊躇う。坂田が憎くてではない。自分が可愛いからだ。自分の利益を失いたくないからだ。


 坂田のアリバイ。
 それは俺が坂田を密かに尾けていたからわかったことだ。坂田自身さえ知らないだろう。
 俺が、非番の夜ごとに坂田を探して街を彷徨っていることを。






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