Clap



「んー」
カーテンの隙間から溢れる明るさから逃れるように寝返りを打つと、足先が固いけど弾力のある何かに触れた。
ああ…そういえば昨夜は一人じゃなかったと寝惚けた頭を無理矢理起こし、ゆっくりと瞼を上げる。


うっすらと膜がかかったような視界に飛び込んで来たのは、男の人にしては白くて綺麗な背中。


「何だって、こんな……憎らしい。」


その広くて綺麗な背中を若干の嫉妬を覚えつつ、たっぷりと堪能すると、同時に沸き上がって来た悪戯心に、一人乙女らしからぬ笑みを溢し、一気に距離を縮めた。



かぷり、と肩に噛み付くも何の反応も帰ってこない。


「……………。」


あれ?おかしいな?昨夜運動しすぎて疲れてるのかな?それにしても、日頃あんなに気配に聡いはずなのにと、もう一度チャレンジすべく近付くも失敗に終わった。

何故なら、あと少しだという所で素早く寝返りを打った彼に床ドンされてしまったから。


「お、おはようございます?」


私の上で眉間に皺をよせ目を細める彼にビクビクしつつ、にこりとひきつった笑みを浮かべて朝の挨拶をすると、噛み付くような口づけが帰ってきた。


「んーっ、ふぁっ、ちょっとまっ、」

「朝から煽ってきたのはあんただろ?」

「ち、違うし。そ、それに昨夜あんなにシたのに無理無理。」

「無理かどうかは身体に聞いてやるから大人しく感じてろ」

「いやぁー」



口では無理だといいつつも、準備を始める身体に つくづくこの男(ひと)が好きなんだな、と呆れながら、込み上げるふわふわした気分を誤魔化すように目の前の愛しい男の胸に飛びついた。



「ううう、絶対リベンジしてやるー!」

「ふっ、やれるものならな」




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