04.
(06の01あたりのおはなし)
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「鬼ごっこは、もう終わりだ」
ギラリ。長い金髪の向こう側で、鋭い三白眼が光る。
射抜くようなそれに俺が息を呑んだとき、緩慢な動きでワタルが俺の首元へ顔を寄せてきた。そのままがりっと首筋を噛まれる。ゆっくりと顔を離したワタルの唇が赤いもので濡れているのを見ながら、俺は痛みに顔をしかめた。
「お前、……そんなに俺のこと好きなわけ?」
「――は、」
なにを今更、と言った顔でワタルは即答する。
「好きに決まってんだろ。愛してんだよ、俺は」
きっぱりとした口ぶりで言ってペロリと俺の血を舌で舐め取るワタルは、ひどく男くさい顔をしている。
この学園の、人気者たちに気に入られようとかわいこぶる多くの生徒たちよりも何よりも、そんな雄をにじませた表情に欲情してしまった俺は、もしかしたらちょっとおかしいのかもしれない。性的嗜好的な、そういう意味で。
(……まぁ、いいか。別に)
変態だろうがなんだろうが、そんなの関係ない。そもそも男同士って時点でちょっと変わってるんだから、そんなのいまさらだ。
一人そう結論付けてニヤリと口角を上げる。まだほんの少し、赤い色の残るワタルの唇に引き寄せられるようにして、俺は目の前の金色頭をわしづかみ、ぐいと引き寄せた。
己の求めるままにキスをすれば、相手の吐く息が吸えるような至近距離圏内で、ワタルが驚きに目を見開くのが見えた。
「そんなに好きなら、応えてやるよ」
――ただし、攻めるのは俺のほうだけど、な。
心の中だけで付け足して、ワタルの口内に残った自分の血の味を求めるように、もう一度、深く唇を重ねたのだった。
(結論:このあと滅茶苦茶セックスした)
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